【確認問題あり】腫瘍・免疫染色マーカーと局在+覚えるべき関連疾患まとめ


今回は腫瘍マーカー、免疫染色マーカーと局在、関連疾患の組み合わせを紹介。
必要なものだけを絞ったのでここから覚えてみてね!
マーカー とは
一般的にマーカーというと2種類あります。
- 腫瘍マーカー
血液・尿などの体液中に見られる腫瘍が作ったタンパクなどのこと。
その蛋白の有無や値の上昇で腫瘍の存在が推測できる。
例)乳癌のCA15-3, 卵巣がんのCA125 など
これは主に血液検査や尿検査などで検索する。 - 細胞を特定するマーカー
それぞれの細胞や腫瘍がもつタンパクなどのこと。
細胞や腫瘍の種類、腫瘍の存在、治療の適応などが推測できる。
例)平滑筋のα-SMA, 乳癌のHER2など。
主に組織や細胞の免疫染色などで検索する。
この2種類のマーカーで覚えることは次の2つです。
- マーカーと疾患の関係
- マーカーと局在(細胞のどこに発現するか)
(細胞のどこにあるか)
マーカーを全て挙げるとキリがありません。
また、検査技師国試と細胞検査士試験では覚える量が違う点に注意してください。

それぞれの試験で覚えるべきマーカーをまとめたので、確認してください!
検査技師国試に必要なマーカー12種
国試用はマーカーを12個に絞りました。
\国試で覚えるべき12個のマーカー/
マーカー名 | 疾患 | 局在 |
1. CD~ (~には数字が入る) | 悪性リンパ腫 (数字1桁はT細胞性、2桁以上はB細胞性が多い) | 細胞膜 (細胞質もあるが、国試は膜でOK) |
2. CEA | 腺癌 (胃癌や大腸癌など腺癌全般) | 細胞質/細胞膜 |
3. c-kit(KIT) | GIST(消化管間質腫瘍) | 細胞膜/細胞質 |
4. PSA | 前立腺癌 | 細胞質 |
5. AFP | 肝細胞癌 卵黄嚢腫瘍 | 細胞質 |
6. hCG | 絨毛癌 | 細胞質/細胞膜 |
7. CA19-9 | 膵癌 胆道癌 | 細胞膜 |
8. ER | 乳癌 | 核 |
9. CA125 | 卵巣癌 | 細胞膜 |
10. HER2 | 乳癌 | 細胞膜 |
11. ALK | 肺癌 未分化大細胞リンパ腫 | 細胞質 |
12. PIVKA-Ⅱ | 肝細胞癌 | ー |

実際はこれ以外にも出題されるけど、以下のように考えれば解けるよ。
- AFPー膵臓
- CA125ー胆嚢癌
- CEAー骨肉腫
- c-kitー髄芽腫
- S100蛋白ー悪性黒色腫
<解説>
- AFPは上の表で覚えた
- CA125は上の表で覚えた
- CEAは上の表で覚えた
- c-kitは上の表で覚えた
- S-100は上の表で覚えてない
となるが、「S100」を覚えてなくても選択肢的に❺を選ぶしかない。
- BCLー2
- CD20
- Cyclin D1
- HER2
- Ki-67
<解説>
- BCLー2は分からない
- CD20は上の表で覚えた
- Cyclin D1は分からない
- HER2は上の表で覚えた
- Ki-67は分からない
とほとんど覚えていないが、上の表で覚えた❹が選べる。

あくまでも過去10年分を見たときの考え方。
まず上の12個覚えてから他を覚えていこう。
最初はこの12個を繰り返し読んだり書いたりするのがおすすめ。
反復が長期記憶に一番効くので頑張ってみて!
上の12個を覚えたら下の10個も覚えてください。
- α-SMA
- 平滑筋肉腫
- PgR(核)
- 乳癌
- Cytoketatin(細胞質)
- 腺癌、扁平上皮癌などの上皮系腫瘍
- Chromogranin A
- 神経内分泌腫瘍(小細胞癌など)
- NSE
- 神経内分泌腫瘍(小細胞癌など)
- synaptophysin
- 神経内分泌腫瘍(小細胞癌など)
- EGFR(細胞膜)
- 肺癌
- PD-L1(細胞膜)
- 肺癌
- Ki-67(核)
- 腫瘍などの増殖能が高い細胞
- p〇〇(p53、p21など)(核)
- 多くの腫瘍
細胞検査士試験に必要な腫瘍マーカー
過去に出たもの+覚えたいマーカーは最新版 過去問解説集の特典として入る予定です。

現在まとめ中・・・
マーカーの局在・染まり方
局在とはそのタンパクが存在する場所、つまり免疫染色で染まる場所のこと。
染まり方を見て細胞のどこが染まっているかわかる必要がある。

染まる場所は3か所あるよ。
3種類の染まり方も確認してね。
- 細胞質
- 細胞膜
- 核

細胞質が陽性の像。
細胞全体に染まったように見える。
- AFP
- ALK
- Cytokeratin(CK)
など

細胞膜が陽性の像。
細胞一つ一つを取り囲むように見える。
- CD抗原
- HER2
- EGFR
- PDL-1
など

核が陽性の像。
小さく丸い茶色が見える。
- ER
- PgR
- p53
- PD-L1
など

国試で出題されやすいのは細胞膜と核に染まるもの。
まずそれらを覚えて、それ以外を細胞質と認識しよう!
細胞検査士試験ではかなり幅広い範囲を聞かれるので、少しずつ地道に覚えるのがおすすめです。
各腫瘍の所見を覚える時に一緒に覚えましょう。
免疫染色とコンパニオン診断薬
免疫染色マーカーの中には、特定の治療薬効果を予測できるものがあります。
それが「コンパニオン診断薬」に関連するマーカーです。
分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などを使用する際に、その効果や安全性を予測する検査薬または検査法のこと。
患者さん一人ひとりの遺伝子情報やタンパク質発現状態などを調べることで、その薬が「効きそうか」「副作用のリスクはどうか」といった「薬との相性」を判断します。
免疫染色との関わり
コンパニオン診断におけるバイオマーカーの検出には、様々な技術が用いられますが、免疫染色もその手法の一つです。

免疫染色で陽性が確認できれば特定の治療薬を適応できるよ。
マーカー | 主な適応疾患 |
---|---|
HER2 | 乳がん 胃がん 肺がん |
ER (エストロゲン受容体) | 乳がん |
PgR (プロゲステロン受容体) | 乳がん |
MMR蛋白 (MSH2, MSH6, MLH1, PMS2) | 大腸がん 子宮体がん リンチ症候群 |
PD-L1 | 非小細胞肺がん 胃がん 乳がん など |
EGFR | 非小細胞肺がん |
ALK | 非小細胞肺がん |
ROS1 | 非小細胞肺がん |
BRAF | 非小細胞肺がん 悪性黒色腫 など |
MET | 非小細胞肺がん |
RET | 非小細胞肺がん |
KRAS | 非小細胞肺がん |
NTRK | 非小細胞肺がん |
適切な治療薬の選択、すなわち「個別化医療(オーダーメイド医療)」の実現に直結します。

免疫染色マーカーは、このように治療方針決定にも深く関わってるよ。
確認問題

最後に問題を解いてみよう!
乳癌組織の免疫組織化学染色標本(別冊No. 9)を別に示す。
使用された抗体はどれか。
1.抗 Ki 67抗体
2.抗 HER2/neu抗体
3.抗 p53抗体
4.抗エストロゲンレセプター〈ER〉抗体
5.抗プロゲステロンレセプター〈PgR〉抗体

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2
この(上の画像)免疫組織化学染色が判定するのはどれか。
1.組織型
2.増殖能
3.間質浸潤
4.治療薬適応
5.リンパ管侵襲
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