みんなの病理の点数を上げる臨床検査技師、細胞検査士のどっとゼブラです!
今回は苦手な人が多い免疫染色について解説していきます!
今日も頑張ろう!
- 免疫染色を理解したい人
- 国家試験の点数アップを狙う人
- 模試でも点を取りたい人
免疫染色 の基礎知識
今まで免疫染色の基礎知識を勉強してきました。
【臨床検査技師国家試験対策】免疫染色を分かりやすくイラスト解説①酵素抗体法と蛍光抗体法
【臨床検査技師国家試験対策】免疫染色を分かりやすくイラスト解説②直接法、間接法、ABC法、LSAB法、ポリマー法
【臨床検査技師国家試験対策】免疫染色の抗原賦活化とブロッキングをわかりやすくイラスト解説
これらを完全に理解するために各工程をおさらいしよう!
免疫染色の全体像①~ポリマー法~
まずは全体の流れを確認しましょう
- 脱パラ・脱キシ・親水
- 内因性ペルオキシダーゼのブロッキング
- 流水水洗
- 抗原賦活化
- 流水水洗
- PBS洗浄
- 非特異的反応のブロッキング
- 一次抗体反応
- PBS洗浄
- 二次抗体反応
- PBS洗浄
- DABなどで発色
- 流水水洗
- マイヤーのヘマトキシリンで核染
- 脱水・透徹・封入
これを一つずつ確認して知識を点数を上げよう!
脱パラ・脱キシ・親水
まずは組織のパラフィンを溶かして水になじませる
内因性ペルオキシダーゼのブロッキング
体の中にはもともとペルオキシダーゼ(POD)という酵素があります
このPODを除去しないと余計な部分にも反応してしまいます
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このままではすべてが染まってしまい、どこが目的の場所か分かりません
そこで最初に内因性PODを除去すると・・・
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過酸化水素の他、過ヨウ素酸 や アジ化ナトリウム でもPODをブロックできるよ。
終わったら水洗します。
- 過酸化水素
- 過ヨウ素酸
- アジ化ナトリウム
抗原賦活化
次に抗原を賦活化(活性化)させます
まず知っておくことはホルマリンの作用です
ホルマリンは固定(腐らなくする)する液体ですが、その際にマスキングという現象が起きます
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マスキングが起きると抗体が抗原にくっ付けなくなります
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マスキングを外すために熱処理 or 酵素処理を行います
マスキングはタンパクの構造を変えると外れるんだったよな
タンパク、つまり抗原は熱や酵素によって構造が変化します
この構造を変化させることでマスキングを外すことができます
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どうやって熱処理、酵素処理をするか以下のものを覚えておきましょう
- 電子レンジ
- オートクレーブ
- 圧力鍋
- 温浴槽 など
- トリプシン
- ペプシン
- プロテイナーゼK など
これで抗体がくっ付けるようになりました
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処理後、水洗します
PBS洗浄
ここからの洗浄は基本的にPBSという緩衝液を使います
免疫染色の洗浄はとにかくPBSと覚えよう!
非特異的反応のブロッキング
理想は目的の場所だけに抗体を付けたい
でも実際は関係ないとこにもくっ付きます
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これはなんとしてもブロックしなければ
ということでこの非特異的反応をブロックしていきます
抗体を反応させる前にタンパク成分を敷き詰めることでブロックできます
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ブロッキングに使うものも覚えなきゃだったな
- (二次抗体と同じ動物の)正常動物血清
- ウシ血清アルブミン
- カゼイン など
ここまでしてようやく抗体を反応させます
一次抗体反応
まず目的の抗原にくっ付く一次抗体を反応させます
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反応後、付いてない抗体を除去するためにPBSで洗います
二次抗体反応
今回はポリマー法なので高分子ポリマーが付いた二次抗体を反応させます
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反応後、くっ付いてない抗体を流すためPBSで洗います
DABやAECで発色
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DABやAECは過酸化水素と協力して発色するよ
しかもDABとAECは違った特徴があるんだったな
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- 茶色に染まる
- 非水溶性の封入剤を使う
- 永久保存が可能
- 赤色に染まる
- 水溶性の封入剤を使う
- 永久保存ができない
反応後、発色反応を止めるために流水水洗します
マイヤーのヘマトキシリンで核染
免疫染色では進行性のヘマトキシリンで核を染めます
進行性のヘマトキシリンは分別がいらないものです
退行性というのもあり、それは分別が必要です
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マイヤーの組成も頑張って覚えよう!
- ヘマトキシリン
- ヨウ素酸ナトリウム(酸化剤)
- カリウムミョウバン(媒染剤)
- 抱水クロラール(防腐剤)
- 結晶クエン酸(pH調整)
- 蒸留水
染めたらアルカリの水洗して最終工程に行きます
脱水・透徹・封入
DABの場合は脱水・透徹して非水溶性封入剤で封入
AECの場合は脱水せずに蒸留水を通して水溶性封入剤で封入
これでポリマー法は完璧だ!
お疲れ様(^^)
LSAB法
- 脱パラ・脱キシ・親水
- 内因性ペルオキシダーゼのブロッキング
- 流水水洗
- 抗原賦活化
- 流水水洗
- PBS洗浄
- 内因性ビオチンのブロッキング
- PBS洗浄
- 非特異的反応のブロッキング
- 一次抗体反応
- PBS洗浄
- ビオチン化二次抗体反応
- PBS洗浄
- 酵素標識ストレプトアビジン反応
- PBS洗浄
- DABなどで発色
- 流水水洗
- マイヤーのヘマトキシリンで核染
- 脱水・透徹・封入
1~11まではほとんどポリマー法と同じ
7番と12番以降を見ていこう!
内因性ビオチンのブロッキング
内因性ビオチンとはもともと体の中にあるビオチンのことです。
そして内因性ビオチンはあらかじめ除去する必要があります。
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この画像のように先にアビジンとビオチンを反応させてやれば使えなくなります。
これで内因性ビオチンを消すことができるよ
この後は上述のポリマー法と同じように非特異的反応のブロックと一次抗体反応をさせます
ビオチン化二次抗体の反応
次は一次抗体にビオチンが付いた二次抗体を反応させます
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反応後、くっ付かなかった二次抗体をPBSで洗い流します
酵素標識ストレプトアビジン反応
次にストレプトアビジンを反応させます
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結合力が強いアビジンとビオチンをくっ付けます
そこにPODなどの標識物質をたくさん付けてやれば発色できます
標識物質をたくさん付けられるので感度が上がります
標識物質がたくさん付けられるから感度が高いんだよな
あとはポリマー法と同じようにPBS洗浄した後DABなどで発色します。
蛍光抗体法
最後に蛍光抗体法を見ていきましょう
- 凍結切片作製
- PBS洗浄
- 非特異的反応のブロッキング
- 一次抗体の反応
- PBS洗浄
- 蛍光標識二次抗体反応(遮光)
- PBS洗浄(遮光)
- 核染色用蛍光試薬の反応(遮光)
- PBS洗浄
- 水溶性封入剤で封入
- 蛍光顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡で観察
凍結切片作製
蛍光抗体法は通常のパラフィン切片ではなく凍結切片を使うことが多いです
まず、組織を水溶性包埋剤で包埋し、液体窒素などで凍らせます
その後クリオスタットで薄切します
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切片をガラスに貼りつけた後、PBSで洗浄します
その後、他の方法と同じように非特異的反応のブロッキングを行います
一次抗体の反応
上述の他の方法と同様に一次抗体を反応させます
蛍光抗体法は一次抗体に標識物質を付ける直接法で行うことも多いです
ここでは間接法について説明していきます
一次抗体反応後はPBSで洗浄します
蛍光標識二次抗体反応(遮光)
蛍光色素が付いた二次抗体を反応させます
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ここからは遮光して暗いところで行います
遮光しないと蛍光が減弱するよ!
抗体に付ける蛍光色素には種類があるので頑張って覚えましょう
- FITC:緑黄色
- Texas red:赤色
反応後、遮光した状態でPBS洗浄を行います
核染色用蛍光試薬の反応(遮光)
次に核も蛍光色素で染めます
核を染めるのは抗体に付ける蛍光と違うんだよな
核を染めるための蛍光色素は以下の通りです
- DAPI:青
- Hoechst:青
- Propidium iodide(PI):赤
これらの蛍光色素はDNAに直接結合するため核が染まります
反応後はPBSで洗浄します
水溶性封入剤で封入
蛍光色素を使った水溶性封入剤で封入します
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封入剤の種類は覚えておこう!
- グリセリン・ゼラチン など
- マリノール
- マウインとクイック など
蛍光顕微鏡・共焦点レーザー顕微鏡で観察
蛍光をみるには特殊な顕微鏡を使う必要があります
- 蛍光顕微鏡
- 共焦点レーザー顕微鏡
この顕微鏡で励起光という光を当てて蛍光が光る状態にして観察します
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まとめ
今回は知識を定着させるために各方法の工程を見ていきました
今までこの流れが分からなかったけど、一つずつ解決したら理解しやすくなった
免疫染色みたいに原理などの理解が重要なものは一つずつ解決すれば大丈夫!
あせらず確実に解決していこう!
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