今回は 包埋 について。
試験では包埋に関して細かい部分まで聞いてくる。
ここでは全てまとめたのでここにあるものを覚えていこう!
包埋 と 包埋 法の違い
組織をパラフィンなど硬化できるものの中に埋め込む操作が包埋。
包埋するまでの全工程を包埋法と呼ぶことがある。
検体が標本になるまでの流れは下の図で確実に覚えよう。
※骨など硬組織は脱水・脱脂あとに脱灰を行う
脱脂脱灰の解説はこちら
なぜ 包埋 を行うのか
標本を顕微鏡で観察するために薄く切る必要がある。
薄く切るためには組織を固くしたいが、組織は隙間があり軟らかい。
そのためパラフィンなどで組織内外を固めて薄く切れるようにする。
それが包埋。
包埋 剤の種類
包埋するときに使うものを包埋剤と呼ぶ。
包埋剤には
水となじまない非水溶性
水となじむ水溶性
の2種類がある。
それぞれ以下のようなものが含まれる。
非水溶性包埋剤
①パラフィン(通常これ)
②セロイジン
③メタクリル樹脂
④エポキシ樹脂(電顕に使う)
水溶性包埋剤
①OCTコンパウンド
②カーボワックス
③ゼラチン
パラフィン包埋の工程
まず一番よくつかわれるパラフィンでの包埋法を見てみましょう。
このパラフィンで包埋するためにいくつかの工程が必要。
①脱水
②脱アルコール
③パラフィン浸透
④包埋
これを一つずつ確認してみましょう。
①脱水
組織の中には必ず水分がある。
水はパラフィンとなじまないため除去する必要がある。
水を除去する脱水にはアルコールを使う。
用いるアルコールは以下の2種類。
①エタノール
通常これを使う。メタノールより脱脂効果が高い。
②メタノール
浸透速度エタノールより1.7倍速い。
急に高濃度のアルコールに入れると組織に悪影響なため少しずつ濃度を上げる。
水分はしっかり除去しないとパラフィンが浸透しない。
脱水はしっかりと時間をかけて行う。
②脱アルコール
アルコールとパラフィンも相性が悪い。
そのためどちらとも相性がいい中間剤に置換する必要がある。
この作業を脱アルコールという。
脱アルコールに使う試薬は
①中間剤
②媒介剤
③仲介剤
④置換剤
などと呼ぶ。
この脱アルコール剤には以下の5種類がある。
①キシレン
②クロロホルム
③トルエン
④ベンゾール
⑤ツェーデル油
①と②を使うことが多い。
キシレンは水との相性は悪いため、水分が残っていると白く濁る。
③パラフィン浸透
脱アルコールが終わったら組織にパラフィンを浸透させる。
パラフィンとは蝋のようなもので熱で溶け冷えると固まる。
このパラフィンには2種類ありそれぞれ融点(溶ける温度)が異なる。
①軟パラフィン
45℃~52℃
②硬パラフィン
54℃~58℃
基本的にはこちらが使われる。
④ 包埋
組織にパラフィンが浸透したら最後に包埋する。
包埋を行うことでこの後の薄切を行うことができる。
組織の収縮率
パラフィン包埋の過程では組織が収縮する。
最も収縮率が高いのはパラフィン浸透の工程である。
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