今回は FISH 法について解説!
実は FISH がよく分からないって人は少なくない。
ここで完全に解決していこう!
問題とポイント
Q. FISH 法について正しいのは?2つ選べ
- 標本は永久標本となる
- 染色体転座の検出に用いる
- 観察には偏光顕微鏡を用いる
- キメラ遺伝子の検出に用いる
- 核はFITCで染色する
- ターゲットは核酸
- 蛍光を使う
- 遺伝子の転座や増幅が分かる
FISH と免疫染色の違い
FISH と免染って似ててよく分からないんだよなあ
FISHと免染はそもそもターゲットが違います。
全てではないですが、基本的には、
- ISHのターゲットは核酸
- 免染のターゲットは蛋白質
見たいものが全然違うんだね
FISH の言葉の意味
何でFISHって名前なの?
魚?
魚ってお前・・・
なんて安易な・・・
まず【ISH】とは
In Situ hybridizationの頭文字を取ってFISHです。
【In situ】とはその場でという意味。
ここでいうその場ではそのまま細胞の状態での核という意味。
FISHは細胞を壊さず形を保ったまま遺伝子検査ができます。
それはIn situの意味です。
【hybridization】とはハイブリダイズするという意味。
おいおい、また訳の分からない言葉を
ハイブリダイズとはプローブをくっ付けるという意味。
プローブは標的核酸と相補的な配列をもった人工的な核酸のこと。
この辺の生物学基礎が分からない人はココを見てください⇊
DNAからタンパク質をつくるまで。セントラルドグマを画像で分かりやすく解説!
FISH の【F】とは
じゃあFISHの【F】は何なんだ
FISHの【F】はFluorescenseの【F】です。
Fluorescenseとは【蛍光】という意味。
核酸にくっ付けるプローブに蛍光が付いてます。
つまりFISHとは蛍光を使ったISHという意味だね。
あくまでも蛍光を使ったISHがFISH。
蛍光を使ってないISHもあります。
なにを使ってISHするかで最初のアルファベットが変わります。
例えば免染と同じDABなどを使うCISHがあります。
ISHの流れ
ISHはPCRと似た流れで行います。
ISH
- 熱変性
- ハイブリダイズ
PCR
- 熱変性
二本鎖を解離させる - アニーリング
プライマーを付ける - 伸長反応
目的の核酸を伸ばす
ISHは核酸を増やさないので伸長反応が必要ありません。
PCRは核酸を増やす目的で行います。
FISH とCISHの違い
FISHとCISHでは発色方法(色の付け方)が違います。
FISHは蛍光をCISHはDABなどを使います。
だから何なんだ
この発色方法によってそれぞれに特徴(違い)ができます。
その違いとは
- 使う顕微鏡
- 背景の明るさ
- 感度
この3つが挙げられます。
顕微鏡の違い
FISHは蛍光を使うため蛍光顕微鏡を使います。
蛍光顕微鏡は蛍光を検出するための装置が搭載された顕微鏡です。
蛍光は普通の顕微鏡では検出できません。
一方CISHはDABを使うので普通の顕微鏡で検出できます。
背景の明るさの違い
FISHは蛍光を使うので背景を暗くします。
夜に蛍が見やすくなるのと同じで光る物質は暗くないと検出できません。
なので細胞の形が分からないという欠点があります。
CISHは色が付くだけのなので背景は明るいままで大丈夫。
なので細胞の形も分かります。
感度の違い
FISHは蛍光を使うためCISHより感度が高いです。
感度とは小さいものをいかに見つけられるかという意味です。
夜に蛍が飛ぶと見つけやすいのと同じか
ここで挙げた3つの違いは免染の蛍光抗体法と酵素抗体法の違いと同じです。
そこも合わせて覚えると効率的です。
FISH 法でできること
今回はよく出題されるFISHを深堀していこう!
この辺がFISHでできる特徴です。
細胞周期の間期でも検査できる
間期って何だ?
細胞は細胞周期を回すことで増殖します。
この中のG1~G2期までを間期と呼びます。
ISH以外で遺伝子検査をする方法として染色体を検査があります。
染色体検査する場合はM期でしか検査来ません。
染色体はM期にしか作られないからです。
でもISHは細胞周期の何期でも検査できます。
遺伝子転座(キメラ遺伝子)の検出
FISHでは遺伝子の転座が検出できます。
転座・・・?
転座とは遺伝子Aと遺伝子Bの一部が入れ替わることです。
こうなることで違う遺伝子の組み合わせができます。
これでできる遺伝子をキメラ遺伝子と呼ぶよ
例えば慢性骨髄性白血病で有名なBCR-ABL遺伝子をFISHで検出するとこのように見えます。
BCRを緑、ABLを赤に染めた場合
正常の場合BCRとABLは離れた位置にあります。
BCRとABLが融合すると赤と緑の色が近くなり黄色の融合遺伝子ができます。
(緑と赤が混ざると黄色になる)
これでキメラ遺伝子があることが分かります。
遺伝子増幅の検出
FISHでは遺伝子増幅も検出できます。
乳癌のHERを例に見てみよう!
HER2は免疫染色でどこに染まるかも覚えておきましょう。
HER2が染まる場所はココで確認
正常ではセントロメア(染色体の中心)1つに対してHER2も1つ。
遺伝子が増幅されるとその比率が崩れます。
それを数えることで遺伝子の増幅を検出できます。
その他の FISH の特徴
- 永久標本にならない
- プローブの蛍光にはFITC(緑)やRITC(赤)を使う
- 核の蛍光にはDAPI(青)やHoechst(青)を使う
永久標本にならない
FISHの標本は蛍光を使うため永久標本になりません。
蛍光はどんどん減弱するんだったな
プローブの蛍光にはFITC(緑)やRITC(赤)を使う
FISHではプローブに蛍光をくっ付けます。
プローブに付ける蛍光は
- FITC(緑)
- RITC(赤)
この2種類を覚えておきましょう。
核の蛍光にはDAPI(青)やHoechst(青)を使う
核はプローブと違う蛍光を使います。
核に使う蛍光は
- DAPI(青)
- Hoechst(青)
この2種類を覚えておきましょう。
問題の答えとまとめ
最後にもう一度問題を見てみよう!
Q.FISH法について正しいのは?2つ選べ
- 標本は永久標本となる
- 染色体転座の検出に用いる
- 観察には偏光顕微鏡を用いる
- キメラ遺伝子の検出に用いる
- 核はFITCで染色する
最初は分からなかった問題も分かるようになったでしょうか。
ポイントを確実に説明できるようにしておきましょう!
- ターゲットは核酸
- 蛍光を使う
- 遺伝子の転座や増幅が分かる
みんなの点数が1点でも上がると嬉しいです(^^)
今日も一緒に勉強頑張ってくれてありがとう!
明日も一緒に頑張ろう!
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