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国試に使える 凍結標本作製 法のすべて(術中迅速を含む)

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今回は凍結標本作製について。
凍結標本は普通の標本と何が違う?
全く別物だからここで全ておさえていこう!

\病理の国試対策本が出ました!/

凍結標本作製 とは

凍結標本作製はパラフィン切片作製の欠点を補うための方法。
パラフィン切片作製は有能だが以下の2つの欠点がある。

パラフィン切片作製の欠点

①アルコール処理するため脂肪が溶出する。
 (脂肪染色ができない)
 脂肪染色の解説はこちら

②熱処理があるため抗原失活などが起きる。
(抗原失活は免疫染色に影響が出る)
免疫染色の解説はこちら

②時間がかかる

パラフィン切片作製の解説はこちら

つまり凍結標本作製は以下の利点が特徴となる。

①脂肪溶出や抗原失活をおさえられる。

②時間を短縮できる(数十分で可能)

この利点を知っておくと凍結切片作製法を理解しやすいよ

凍結標本作製 法の種類

固定前に標本作製する方法と固定後に標本作製する方法がある。

固定前 凍結切片作製 法

この方法は生の臓器を包埋し薄切まで行う。
切片作製まで時間が短縮できるため術中迅速診断に使える。

ただし、最初に固定しないため組織構造の保持が良くない。
つまり顕微鏡で見るときに構造が壊れて見えるときがある。

固定後 凍結標本作製 法

この方法は固定した臓器を凍結して処理する。
固定に時間がかかるため術中迅速診断には適応できない。

最初に固定を行うため組織構造保持に優れる。
つまり顕微鏡で見るときにちゃんと構造が保たれた状態で観察できる。

固定前作製法と違いスクロースで固定液を洗浄する操作も加わる。

凍結標本作製 法の手順

ここでは固定前の作製法を見ていきましょう。
固定前作製法と迅速診断の凍結標本作製は同様だと認識してください。

*切り出しで重要な部分は特にないのため割愛します。

包埋

包埋とは組織を薄切できるように固める作業のこと。
パラフィン包埋の解説はこちら

凍結標本作製時は水溶性包埋剤で包埋する。

包埋剤とは包埋するために使うもので

包埋剤には
水となじまない非水溶性
水となじむ水溶性
の2種類がある。

それぞれ以下のようなものが含まれる。

非水溶性包埋剤

①パラフィン(通常これ)
②セロイジン
③メタクリル樹脂
④エポキシ樹脂(電顕に使う)

水溶性包埋剤

①OCTコンパウンド
②カーボワックス
③ゼラチン

「凍結切片」「術中迅速」などの単語が出たら水溶性包埋剤で包埋すると覚えておこう。

凍結

組織を包埋剤の中に入れた後、凍結する。

凍結は

液体窒素
ドライアイス
を加えたアセトン、エタノールなど

を用いる。
※現在は専用の装置もあるため病院では上のものを使わないこともある。

凍結する際のポイントは急速凍結
ゆっくり凍結すると氷晶が形成され組織が障害される。

ゆっくり凍結した場合、以下のような核内や細胞質の空胞が生じる。

引用:検査技師国試 66回午後45の問題
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp200414-07b_02.pdf

薄切

凍結標本の薄切は冷えた状態で行う必要がある。

冷えたミクロトームをクリオスタットと呼びこれで薄切する。

薄切前に脱脂や脱灰は行わないため脂肪組織は切りにくく硬組織は切れない

クリオスタットの覚える特徴は以下の通り。

クリオスタットの特徴

①庫内は-20℃程度

②脂肪組織は-35℃以下が薄切しやすい。

③厚め(4~8μm)で切る。

④ミクロトームの種類は回転式のミノー型。
 ミクロトームの種類の解説はこちら

⑤しわや脂肪の抜けがある時はブロック温度が高い。
 冷却スプレーでブロックを冷やすと良い。

⑥細かいひび割れはブロック温度が低い。
 指で表面を温めると良い。

固定

薄切前に固定しない場合、薄切後に固定する。

薄切後すぐ固定する湿潤固定と冷風乾燥する乾燥固定がある。
ほとんどは湿潤固定を行う。

●術中迅速診断はアルコール主体の固定液。

●脂肪染色は10%ホルマリン

●免疫染色は冷風乾燥 or 各抗原に適した湿潤固定

染色

固定後、各必要な染色を行う。

●術中迅速診断:HE染色

●脂肪の検出:脂肪染色
脂肪染色の解説はこちら

●その他免疫染色など

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