MT・CTのどっとゼブラです。
今回は脂肪染色の ズダンⅢ と オイル赤O について。
脂肪染色はひっかけ的要素もあり問題にしやすい。
一つずつポイントをおさえよう!
脂肪染色の種類と共通点
覚える脂肪染色は4種類です。
- Sudan Ⅲ
- Oil red O
- Sudan black B
- Nile blue
この中でNile blue以外の1~3には4つの共通点があります。
- 無極性色素
- 厚めの凍結切片を使う
- 染色工程にアルコールを含む
- 加温する
今回は脂肪染色の Sudan Ⅲ染色とOil red O染色を見てみましょう。
ズダンⅢ 染色のポイント
ポイントは7つです。
- クリオスタットで厚めに切る
- 加温する
- 色素が無極性色素
- 物理的に染まる
- 染色工程にアルコールを含む
- 中性脂肪が赤く染まる
- 親水性封入剤で封入する
クリオスタットで厚めに切る
パラフィンブロックにすると脂肪が溶けるため検出できなくなります。
そのため基本的には生の組織からクリオスタットで切片を作製します。
(ホルマリン固定組織からでも可能です)
この切片のことを凍結切片とも呼びます。
色素が無極性色素

脂肪染色の色素はほとんど無極性色素。
無極性色素とは酸性や塩基性などに傾いていない(極性が無い)色素です。
この色素の特徴として
- 水に溶けにくい
- アルコールに溶けやすい
- 荷電しない
この3つを覚えておきましょう。
物理的に染まる
多くの染色は化学的な結合で色を付けます。
例えば塩基性色素は陽性荷電なため陰性荷電とくっ付きます。

Sudan Ⅲなどの無極性脂肪染色色素は目的物質に物理的な結合をします。

染色工程にアルコールを含む
Sudan Ⅲはアルコールが好き。
でも脂肪はもっと好き。
脂肪を見つけると色素は溶けてたアルコールから脂肪に移動します。
脂肪はアルコールに溶けるため工程にアルコールを含まないと思われがちだが、使われているので注意。

中性脂肪が赤く染まる
脂肪染色はいくつかありますが、それぞれ染めるものや色が違います。
Sudan III染色は
中性脂肪を赤く染める
ことを覚えておきましょう。
親水性封入剤で封入する
非水溶性封入剤は脂肪を溶かします。
そのため水溶性封入剤で封入する必要があります。

ズダンⅢ 染色のポイントおさらい
ポイントは6つです。
- クリオスタットで厚めに切る
- 色素が無極性色素
- 物理的に染まる
- 染色工程にアルコールを含む
- 中性脂肪が赤く染まる
- 親水性封入剤で封入する
オイル赤O 染色のポイント
次は オイル赤O 染色について。
ズダンⅢとほぼ同じだから違うところだけおぼえよう!
オイル赤O染色のポイントは次の7つ。
- クリオスタットで厚めに切る
- 加温する
- 色素が無極性色素
- 物理的に染まる
- 染色工程にアルコールを含む
- 中性脂肪が赤く染まる
- 親水性封入剤で封入する
これは ズダンⅢ 染色とほぼ同じです。
ただ一か所違うところがあります(勿論色素以外で)。
それはアルコールの種類です。

ここは微妙な違いですがいつか出る可能性もあります。
頭の片隅に置いておきましょう。
何故イソプロを使うのか
イソプロピルアルコールは以下の2つの効果があります
- 色素の溶解性
- 脂肪への浸透性を高める

その結果中性脂肪が赤色に染まりやすくなります。
何故 ズダンⅢ 染色に使わないのかは分かりません。
色素との相性があるのかもしれませんね。
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