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染色・顕微鏡
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【マッソン・フォンタナ染色】原理・手順・目的・関連疾患をイラスト解説!

マッソン・フォンタナ染色
どっとぜぶら
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Masson-Fontana(マッソン・フォンタナ)染色は銀親和性細胞・物質(還元能があるもの)を染色する方法です。

銀親和性物質にはメラニンやリポフスチンなどがあります。

この記事では原理や手順、重要な試薬や染まるもの、実際に出題された問題について解説していきます。

ゴロや試験の注意点もまとめたので、試験対策に有効です。

この記事の著者

どっとぜぶら
どっとぜぶら
細胞検査士
臨床検査技師
医学博士
Profile
・細胞検査士試験 1発合格
・12月からの勉強でMT国試150点

少しでも多くのMT, CT学習者の役に立ちたいと思いSNSなどで情報発信中。
テーマは【勉強ができない人はいない。やり方次第で誰でもできる!】
細胞診過去問解説集や病理の国試解説集を出しました。

マッソン・フォンタナ染色6つのポイント

  1. アンモニア銀を使う
  2. 加温する
  3. メラニンを染める
  4. 神経内分泌顆粒を染める
  5. リポフスチンを染める
  6. クリプトコッカスを染める

マッソン・フォンタナ染色の手順

重要なものは赤文字にしています。
※水洗は省略

  1. 脱パラ・脱キシ・親水
  2. アンモニア銀液加温:60℃】
    (染色)
  3. チオ硫酸ナトリウム
    (定着)
  4. ケルンエヒトロート
    (核染)
  5. 脱水・透徹・封入

マッソン・フォンタナ染色はアンモニア銀液で染める

マッソン・フォンタナ染色像
出典:https://www.abcam.co.jp/products/assay-kits/fontana-masson-stain-kit-melanin-stain-ab150669.html#lb

この染色のキモは【アンモニア銀液で目的物質を染める】ことです。
アンモニア銀という銀は無く、硝酸銀とアンモニア水を混合して作ります。

アンモニア銀液の組成
  1. 硝酸銀水溶液
  2. アンモニア水

注意
「アンモニア銀を使う染色は?」や「硝酸銀を使う染色は?」という問題が出題されますが、どちらにも該当することになります。
マッソン・フォンタナ染色は基本的に「アンモニア銀を使う染色」で覚えて良いですが、選択肢によっては硝酸銀の染色の答えにもなる点に注意。

アンモニア銀液を使う染色は4つあり多いため、以下のゴロで覚えてください。

アンモニア銀液の染色ゴロ
アンモナイトを飼う渡辺さんビビッて真っ青

  • アンモナイト(アンモニア銀)
  • 飼う(カハール)
  • 渡辺さん(渡辺の鍍銀)
  • ビビッて(ビルショウスキー)
  • 真っ青(マッソン・フォンタナ)
アンモニア銀液を使う染色ゴロ
アンモニア銀液を使う染色ゴロ

銀液を使う染色は加温するものが多いのも特徴です。
加温する染色も多いため、ゴロで覚えてください。
加温する染色ゴロ

マッソン・フォンタナ染色の対象物・疾患一覧

  1. メラニン
    (悪性黒色腫)
  2. リポフスチン
  3. 神経内分泌顆粒
    (神経内分泌腫瘍)
  4. クリプトコッカス

メラニン色素と悪性黒色腫

メラニンとはメラノサイトが作る顆粒状物質で、チロシンを材料に作ります。
メラニンは皮膚基底細胞の核が紫外線にやられないように守ってくれています。

メラノサイトが腫瘍化するとメラノーマ(悪性黒色腫)になります。
悪性黒色腫細胞がメラニンを持っていればこの染色で確認できます。

メラニンと悪性黒色腫
メラニンの働きと悪性黒色腫

悪性黒色腫にはメラニンを持つ腫瘍と持たない腫瘍がいます。
メラニンを持たない悪性黒色腫のにはDOPA反応が有効です。

メラニンを染める染色
  1. マッソン・フォンタナ染色
  2. DOPA反応
  3. ゴモリのアルデヒド・フクシン染色

神経内分泌顆粒と神経内分泌腫瘍

神経内分泌細胞と神経内分泌腫瘍
神経内分泌細胞と神経内分泌腫瘍
神経内分泌顆粒とは?

様々な組織に存在する、神経内分泌細胞が出す物質。
通常の顕微鏡では小さくて見えないため、特殊染色か電子顕微鏡で検出する。

神経内分泌細胞が腫瘍化したものは【神経内分泌腫瘍:NET】と呼ばれ、その同定にはマッソン・フォンタナ染色やグリメリウス染色が有効です。

リポフスチンは異物の残余物質

リポフスチンとは細胞小器官のリソソームで消化された異物の残余物質のことです。

不必要な蛋白や糖、脂質、細胞小器官などはリソソームで分解されますが、分解しきれない時があり、リポフスチンとして蓄積します。

リポフスチンが高度に沈着した萎縮組織は【褐色萎縮】と呼ばれます。

リポフスチンが見られやすい組織
  • 心筋(核周囲)
  • 平滑筋
  • 副腎皮質(網状層)
  • 精嚢上皮
  • 神経細胞

HE染色では黄褐色の顆粒に見え、マッソン・フォンタナ染色では黒色に染まります。

リソソームとその組織像
リソソームとその組織像
リポフスチンを染める染色
  1. シュモール反応
  2. マッソン・フォンタナ染色
  3. PAS反応
  4. チール・ネルゼン染色
  5. 脂肪染色

マッソン・フォンタナ染色 国家試験問題

問題 59P53

内分泌細胞の染色法はどれか。
2つ選べ。
1.Berlin blue染色
2.Grimelius染色
3.Kossa 反応
4.Masson-Fontana染色
5.Victoria blue 染色

Q
答えはここをクリック

2.Grimelius染色
4.Masson-Fontana染色

問題 63P53

皮膚のH-E染色標本(別冊No.9)を別に示す。
組織内の褐色色素を証明する染色法はどれか。
1.PTAH 染色
2.Grimelius染色
3.Congo red染色
4.Berlin blue染色
5.Masson-Fontana染色

Q
答えはここをクリック

5.Masson-Fontana 染色

問題 64P51

アンモニア銀を用いる染色法はどれか。
2つ選べ。
1.PAM染色
2.Kossa反応
3.渡辺の鍍銀法
4.Grimelius染色
5.Masson-Fontana染色

Q
答えはここをクリック

3.渡辺の鍍銀法
5.Masson-Fontana 染色

問題 65A47

皮膚のH-E染色標本(別冊No. 6)を別に示す。
矢印に示す褐色顆粒を染色する染色法はどれか。
2つ選べ。
1.Kossa 反応
2.Sudan Ⅲ染色
3.Schmorl 反応
4.Berlin blue 染色
5.Masson-Fontana 染色

Q
答えはここをクリック

3.Schmorl 反応
5.Masson-Fontana 染色

問題 67A46

銀液を使用するのはどれか。
2つ選べ。
1.PAS 染色
2.Grimelius 染色
3.Berlin blue 染色
4.Masson-Fontana 染色
5.methyl green-pyronin 染色

Q
答えはここをクリック

2.Grimelius 染色
4.Masson-Fontana 染色

問題 69P57

銀液を加温しないのはどれか。
1. PAM染色
2. Grocott染色
3. 渡辺の鍍銀
4. Grimelius染色
5. Masson-Fontana染色

Q
答えはここをクリック

3. 渡辺の鍍銀

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