今回は 腫瘍 について。
腫瘍の基本的なこと+国試に必要な内容を紹介します。
腫瘍 の定義と分類
腫瘍 の定義
腫瘍の定義は
【自律性、不可逆性に過剰増殖する組織】
自分で勝手にめっちゃ増えて、それが元に戻らなくなってるって意味だよ。
さらに腫瘍は 良性腫瘍 と 悪性腫瘍 に分かる。
次でそれを見ていきましょう。
腫瘍 の分類
腫瘍は以下のように分類される。
まずは以下の2つについて見ていきましょう。
①良性腫瘍と悪性腫瘍
②上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍
良性 腫瘍 と悪性 腫瘍
この良性、悪性には以下のような意味がある。
- 良性腫瘍=予後がいいもの
- 悪性腫瘍=予後が悪いもの
現在は病理組織学的な観点によっても区別される。
病理組織学的には主に増殖方法の違いがある。
①圧排性増殖
周囲を押し広げるように広がる。
良性腫瘍に多いが、悪性腫瘍でもみられる。
②浸潤性増殖
周囲を破壊しながら広がる。
基本的には悪性腫瘍にしかみられない。
上皮性 腫瘍 と非上皮性 腫瘍
良性腫瘍、悪性腫瘍はさらに以下の2つに分類される。
①上皮性腫瘍
4大組織のうち上皮組織から腫瘍が発生したもの。
②非上皮性腫瘍
4大組織のうち上皮組織以外から腫瘍が発生したもの。
4大組織とは以下のようなものです。
また上皮組織とそれ以外には基底膜という境界ある。
そのため基底膜を境に上が上皮、それ以外を非上皮ということもできる。
腫瘍 の名前のルール
腫瘍の名前にはここまでで紹介した分類に従って基本的なルールがある。
①良性腫瘍 の名前のルール
良性腫瘍は上皮性でも非上皮性でも最後に【~腫】が付く。
例えば以下のようなものが該当する。
●上皮性良性腫瘍
①腺腫
②乳頭腫
●非上皮性良性腫瘍
①血管腫
②線維腫
③神経鞘腫
④平滑筋腫
⑤横紋筋種
⑥脂肪腫
⑦軟骨腫
⑧多形腺腫
※いくつか例外(悪性)があるので注意。
精上皮腫、悪性中皮腫(中皮腫)、悪性リンパ腫、未熟奇形腫など
悪性 腫瘍 の名前のルール
悪性腫瘍は
●上皮性の場合【~癌 または ~芽腫】が付く。
●非上皮性の場合【~肉腫 または ~芽腫】が付く。
例えば以下のようなものが該当する。
●上皮性悪性腫瘍
①腺癌
②扁平上皮癌
③尿路上皮癌
④肝細胞癌
⑤肝芽腫
●非上皮性悪性腫瘍
①血管肉腫
②線維肉腫
③平滑筋肉腫
④横紋筋肉種
⑤脂肪肉腫
⑥軟骨肉腫
⑦骨肉腫
⑧膠芽腫
※この法則に当てはまらない例外があるので注意。
精上皮腫、悪性中皮腫(中皮腫)、悪性リンパ腫、未熟奇形腫など
基本的にはこのような使い方をしますが、区別しない時もあります。
国立がん研究センターのホームページでは区別せずに全て「癌」と書いていると表記があります。
小児に多い 腫瘍 と成人に多い 腫瘍
腫瘍ごとに好発年齢という発生しやすい年齢が分かっている。
国家試験では細かい年齢は聞かれない。
小児に多いものと成人に多いものの2種類を覚えたい。
こういう2種類のものは基本どちらか一方を覚えるのがおすすめ。
小児発生の腫瘍が少ないからそっちを覚えていこう。
基本的に腫瘍は成人(高齢者)に多い。
小児に多い腫瘍は以下の通り。
①【~芽腫】が付く腫瘍
※例外として膠芽腫は成人にできやすいため別で覚えておく
②胚細胞腫瘍
③血液系腫瘍
④骨肉腫
⑤横紋筋肉腫
腫瘍 と 転移
腫瘍と転移で覚えたいのは
①転移の種類
②血行性転移しやすい場所
③臓器別の転移しやすい場所
転移の種類
悪性腫瘍や一部の良性腫瘍は発生した場所ではないところに飛ぶことがある。
これを転移と呼び、大まかに飛び方が3種類ある。
①血行性転移
血管を通って他の場所に行く。
②リンパ行性転移
がんがリンパ管を通って他の場所に行く。
③播種
臓器から腹腔や胸腔にがんが飛び出す。
血行性転移しやすい場所
試験は血行性転移について問う問題が多い。
この血行性転移で転移しやすい場所は以下の4つ。
●脳
●肺
●肝臓
●骨
なぜこれらの臓器に転移しやすいのか。
転移は太い血管から細い血管に入る時に起きやすいためである。
これを踏まえて以下の図を確認してみよう!
上で紹介した場所(骨以外)に転移しやすいのがよく分かるよ。
腫瘍の画像問題
検査技師国試には腫瘍の組織画像問題が出題される。
でも組織型は①扁平上皮癌②腺癌の2種類しか出ない。
組織型とは?
それぞれの特徴を一つ理解すれば鑑別できる。
エオジン(ピンク)に染まるぐるぐるした塊が有るか無いか
●有る場合→扁平上皮癌
●無い場合→腺癌
これを踏まえたうえで最後に鑑別してみよう!
これはどっち?
正解はここをクリック
腺癌
これはどっち?
正解はここをクリック
扁平上皮癌
コメント
すごいよくわかりました。
イラストがわかりやすいです。
だから、心臓癌っていうのは無いんですね!
小腸癌っていうのもあまり聞かないですが、何か理由があるのですか?
つまらない質問ですいません。
メガネさん、いつも見ていただいてありがとうございます!
分かりやすいって言ってもらえてうれしいです。
質問ありがとうございます。全然つまらなくないですよ!
小腸癌ってたしかに耳にしないので不思議ですよね。
小腸の細胞は増殖が速く、古い細胞はどんどん剥がれていきます。
小腸に癌ができてもすぐに新しい細胞に置き換えられるので癌が定着しません。
そのため小腸癌はなかなか生じにくいいと言われています。
でも場所によってはできることもあるので、小腸に癌ができないわけではないです。
参考にしていただければ嬉しいです。
またいつでも質問してください!