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「上皮」とは?生物学、病理学でよく聞く「上皮」。誰にでも分かりやすく画像を使って解説!

44-上皮って何?
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今回は上皮について!
分かるようで分からないこの上皮を誰にでも分かるように解説していくよ。

組織という言葉の意味

上皮を理解するには組織を理解しないと始まらない!
まず組織を理解していこう!

細胞・組織・器官の説明
  • 受精卵から様々な細胞ができる
  • 組織とは同じ目的を持つ細胞が集まったもの
  • 組織が集まったものを器官(臓器)と呼ぶ

でもひとつ引っかかる。
細胞にも種類があって臓器もいろんな臓器があるよな。
じゃあ組織にもいろいろ種類があるのか?

その通り!
組織大きく分けてまず4つあることを知ろう!

~4大組織~組織は大きく分けると4つに分かれる

組織はこのように4つに分けられる。
一つ一つ確認してみよう。

  • 上皮組織
    覆っているすべての場所がコレに当たる。
    例えば皮膚は体の表面を覆っているし、胃や腸の内側だって細胞に覆われてる。
    そのように表面を覆っている部分全てが上皮組織に当たる。
  • 筋組織
    みんなが想像するいわゆる筋肉。
    腕の筋、肉足の筋肉、消化器の筋肉、全ての筋肉がこの筋組織に入る。
  • 神経組織
    神経で構成される組織(細胞の集まり)がこれに当たる。
    みんなが想像するいわゆる神経から神経の塊である脳や脊髄などがここに入る。
  • 支持組織
    上の3つの組織を支える組織。
    体を支える骨が分かりやすい。
    さらに、想像はしにくいが結合組織もここに入る。
    結合組織は後で一緒に解説するから心配なし!

今回はこのヒトを構成するうちの一つ「上皮組織」について確認していきましょう。

上皮とは

上皮って ”上” の ”皮” って書くよね?
つまり上皮は「何かの上に皮のようなものが載っている」イメージ。
この 皮の部分は細胞 のことを指しているよ。
じゃあ何の上に細胞が載っている?

それを知るためにこの腸を輪切りにした図を見てみよう。

腸の断面図

調の輪切りはイメージだとこんな感じ。
断面図は層構造になってるんだ。

腸の断面は内側(今回の図では左側)から

  1. 上皮細胞がいる層
  2. 基底膜
  3. 層2
  4. 層3
  5. 層4

に分かれます。

これはあくまでも今回の特別なイメージ。
今回「上皮」を理解するのに重要なのは「基底膜」
この膜に注目するよ。

横向きだと分かりにくいので、これを縦にしてみます。

基底膜より上が上皮下が非上皮 なのか。
ややこしく考えてたけど意外と分かりやすいな。

その通り!
基底膜が境界線になってるんだ。
4大組織の「上皮組織」はこの「基底膜より上にある細胞の集まり」のことを指してる

今回のイメージ図にある層2、層3、層4の中にはあらゆる線維や筋肉などが含まれています。
その辺はここで説明するとややこしいので別記事のここで解説します。

腸以外でも見てみましょう。

これは子宮頸部を表したもの。
子宮頸部は平たい細胞から背の高い細胞に途中で切り替わる。
注目して欲しいのはさっきと同じで基底膜より上が「上皮」ってとこ。
その下は結合組織といって線維やその線維をつくる細胞がたくさんいる。

上皮細胞の種類

前に 細胞ってなに?画像で楽しく生物を知っていこう!生物 で出てきたけど、この上皮の細胞には種類があるんだよな?

そうそう、よく覚えてたね。
念のためもう一度確認してみよう!

  • 扁平上皮細胞(へんぺいじょうひさいぼう) 
    比較的刺激に強い細胞。たくさん重なると刺激に耐えられる。
    皮膚や口腔などにある。
  • 円柱上皮細胞(えんちゅうじょうひさいぼう) 
    刺激には弱いが粘液などを溜めこみ分泌する能力を持つ。
    上の方に分泌物をためるため、細長い形(円柱状)をしている。
    胃や腸などの消化器に多い。
  • 立方上皮細胞(りっぽうじょうひさいぼう) 
    人体内に数はあまり多くない。
    物質が細胞の中と外を行き来する場所に多いイメージ。
    そこまで大きなものをためる必要はないため、背は低い。
    甲状腺や腎臓の尿細管にある。
  • 尿路上皮細胞(にょうろじょうひさいぼう)
    「移行上皮細胞」ともよばれる。
    名前の通り尿に関連するところにある細胞。
    伸び縮みする性質があるため、尿をためることができる。
    腎臓の一部や膀胱にある。

ここまでは基底膜の上にのっている細胞の名前。
ここからは上皮組織(細胞の集まり)の名称だ。
この上皮は重なり具合などで名称が決まっている。
そこを詳しく見てみよう

上皮の種類

く、くそう!
何が何だかさっぱり分からん!
全部同じに見える!

気持ちは分からなくもないよ。
じゃあこれだとどうかな?

おお!何か種類があるように見えてきた!
けど、ややこし!

ややこしいよね。
でも一つずつ確認すれば大丈夫だからゆっくり見ていこう!

まず最初の「単層」or「重層」”細胞重なり具合” を示します。
次の「扁平」or「立方」or「重層」”細胞の形” を表します。

こんな感じで分解して一つずつ考えると分かりやすいよね。
ほとんどの言葉は分解すると分かりやすくなるよ。

これは・・・確かにややこしくない・・・・

その他に特殊な言葉として「移行(尿路)」「線毛」「多列」という言葉があるのも知っておこう!
そうするとこんな組み合わせができるよ。

1層かいっぱい重なってるか、平たいか正方形か円柱状かの組み合わせか。
それは分かった。でもこれがなんなんだ。

ここでさっきの「上皮細胞の種類」を思い出してほしい。
細胞の種類によっていろんな機能があったよね。
この上皮細胞は臓器によって必要な場所が異なっていて、それぞれ必要な場所に設置されている。
どういうところに配置されてるか見ていこう!

単層扁平上皮

単層扁平上皮は1層の平たい細胞でできた上皮。
血管やリンパ管消化器の表面(外側)はこの上皮で覆われてる。

そして、血管やリンパ管のこの上皮、細胞を「内皮」消化器の表面にあるこの上皮、細胞を「中皮」と呼びます。

同じものでも場所によって細胞の名前が変わるのか。

単層立方上皮

単層立方上皮は1層の立方形の細胞でできた上皮
細胞の内と外で物質の行き来が多いところにあるイメージ。
あくまでもイメージです。
この細胞がある有名な場所は腎臓の尿細管や甲状腺

単層円柱上皮

単層円柱上皮は1層の背の高い円柱状の細胞でできた上皮
胃や腸などの消化器の内側はこの上皮で覆われてる。

この中には頭に毛を持ったものがいる。
その毛を線毛と呼んでおり、それを持った細胞を線毛円柱上皮細胞と呼んでいます。

実は龍角散のCMでも線毛円柱上皮が登場しています。

ほんとだ・・・
意外と身近にあるんだな。

この線毛は重要なのでもう少し詳しく見てみよう!

線毛は微小管と呼ばれる管が集まってできてます。

線毛は動くことができるので、何かを運ぶ組織でよく見られます。

例えば痰を外に出すために上に運ぶ「気管支」、卵子を運ぶ「卵管」、精子を運ぶ「精巣輸出管」などに見られるよ。

何事にも意味があるのか。
その意味と一緒に覚えると覚えやすいな。

\微小管などの細胞骨格はココで確認/

多列線毛円柱上皮

さっきの単層線毛円柱上皮に似た細胞で「多列線毛円柱上皮」がある。
これは背の高い細胞と低い細胞が混ざってるから重なっているように見えると言われてるよ。
そしてこいつの頭にも線毛が生えてる。
覚える場所は上の3つくらい覚えてれば大丈夫。

重層扁平上皮

平たい扁平な細胞が何層にも重なってできた上皮。
一番上は平たいが下に行くにごとに丸くなる。
皮膚(表皮)口の中(口腔)食道角膜などの上皮がこれで覆われている。

目で見える場所に多いな。
「刺激に耐えられる上皮」って言ってたから目で見えるような刺激の多い場所はこれで覆われるのか。

そ、その通りだよ・・・

重層する上皮(細胞がたくさん重なる上皮)は他にも重層立方上皮重層円柱上皮があるけど、あまり重要じゃないから覚えなくていいよ。

尿路上皮(移行上皮)

何層にも重なったように見えるが、「重層」の名前がつかない。
尿が通る場所、腎臓の一部尿管膀胱尿道の上皮がこれで覆われるため、「尿路上皮」と呼ばれる。
普段は何層かの厚い細胞でできているが、尿に押されると細胞が伸びて薄くなる。

こうすることで膀胱などが広がる能力を手に入れ、尿をためることができている。

ここで重要なのが、一番上のアンブレラ細胞
顕微鏡で“がん” の診断をするときにも非常に重要になるんだ。
僕たちみたいな “がん” を見つける細胞検査士はこの細胞を見分けたりして診断してるよ。

まとめ

ちょっと長くなっちゃったけど、分かってもらえたかな?

なんとなくわかったよ。
それぞれの細胞には特徴があって、重なり具合や形で名前がついてるんだよな。
そしてそれぞれ必要な場所に配置されてそこで役割を果たしている。
あとは単語を覚えるだけってとこかな。

分かってもらえたみたいで良かった。
たまにはこんな専門的なこともやっていくよ。

みなさんいかがだったでしょうか。

普段我々が見ているけど見えていない上皮の世界。
なかなか興味深いものがありますね。

まだまだ体の面白さについて伝えていくので、これからもよろしく!

それではまた!

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