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【 PAS反応 】の全て。これを覚えないと国試は無理!

PAS染色
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MT・CTのどっとゼブラです。
今回は PAS反応 について。
これはかなり高頻度で出題される染色。
しかも色んな事を聞いてくる。
この記事で PAS反応 をマスターして数点上げよう!

\病理の国試対策本が出ました!/

PAS反応 のポイント

PAS反応 は以下の5点を覚えましょう。

  1. 原理
  2. 試薬
  3. 何を染めるか
  4. どの組織が画像問題で出るか
  5. ジアスターゼ消化試験

これを覚えれば模試にもある程度対応できます。

一つずる確認していきましょう。

PAS反応 の全体像

染色は全体の流れを何となく把握すると理解しやすくなります。
サラッと見ておきましょう。

  1. 脱パラ・脱キシ・親水
  2. 流水水洗から蒸留水
  3. 1%オルト過ヨウ素酸水溶液
    (酸化)
  4. シッフ試薬
    (呈色)
  5. 亜硫酸水
    (分別)
  6. 流水水洗
  7. マイヤーのヘマトキシリン
    (核染色)
  8. 流水水洗
  9. 色出し
  10. 脱水・透徹・封入

PAS反応 の原理

PAS反応 の原理はシンプルです。

①過ヨウ素酸で酸化

②アルデヒド基が出現

③シッフ試薬で呈色

PAS染色

この①酸化②アルデヒド③呈色の流れと同じ(似た)原理が5つあります。
合わせて覚えておきましょう。

  1. PAS反応
    過ヨウ素酸で酸化

    アルデヒド基が出現

    シッフ試薬で呈色
  2. PAM染色
    過ヨウ素酸で酸化

    アルデヒド基が出現

    メセナミン銀液で呈色
    PAM染色の詳細はこちら
  3. Grocott染色
    クロム酸で酸化

    アルデヒド基が出現

    メセナミン銀液で呈色
  4. Gridleyグリドリー染色
    クロム酸で酸化

    アルデヒド基が出現

    シッフ試薬で呈色
  5. Feulgenフォイルゲン反応
    1N塩酸で加水分解

    アルデヒド基が出現

    シッフ試薬で呈色

PAS反応と似た原理何があったかな?

と忘れそうな人は下のゴロも有効です。

パスタをフォークで食べるパンダがグローブをはめてグリーティング

  • パス(PAS反応)
  • フォーク(フォイルゲン反応)
  • パンダ(PAM)
  • グローブ(Grocott染色)
  • グリーディング(グリドリー染色)

PAS反応 の試薬

これは原理と名前の意味を覚えると覚えやすいです。

PASの原理は
【酸化してシッフで呈色】なので主な試薬は酸化液の過ヨウ素酸シッフです。

シッフ試薬は組成も覚えておきましょう。

シッフ試薬の組成
  1. 塩酸
  2. 塩基性フクシン
  3. 亜硫酸水素ナトリウム
    (重亜硫酸ナトリウム)

シッフ試薬は
塩基性フクシンを含むこと
赤く染まること

この2つも覚えておこう

PAS反応で使う試薬はゴロをつくりました。

バスで通うアリと主婦

  • バス(PAS)
  • 通う(過ヨウ素酸)
  • アリ(亜硫酸水)
  • 主婦(シッフ)

PAS反応 の名前

PAS反応の名前の意味も見てみましょう。

PASの【PA】はperiodic acid(過ヨウ素酸)
PASの【S】はSchiff(シッフ)

の意味です。
試薬の名前がそのまま名前になっています。

こういうのが分かると覚えやすいですね。

PAS反応 は何を染めるか

PAS反応 はある程度何でも染まります。

グリコーゲン、糖蛋白、糖脂質、細網線維、刷子縁、基底膜、コロイド、軟骨、好中球、不飽和脂肪酸、アミロイド、赤痢アメーバ、真菌 など

多すぎるからまずは次の5つを覚えよう!

  1. グリコーゲン
  2. 上皮の粘液
  3. 基底膜
  4. 赤痢アメーバ
  5. 真菌

この5つは必須です。
これを覚えたら他のものも覚えましょう。

ゴロも作成したのでぜひどうぞ!

【染まったバスに何年も乗る、網模様の赤い服を着て狂ったコロは辛気臭い顔】

  • 染まったバス(PAS反応で染まる)
  • 何(軟骨)
  • 年(粘液)
  • 網(アミロイド)
  • 赤い(赤痢アメーバ)
  • 着て(基底膜)
  • 狂った(グルコース)
  • コロ(コロイド)
  • 辛気(真菌)

どの組織が画像問題で出るか

特染の画像問題は臓器の種類で染色が大体決まります。

問題文に次の臓器名があり、赤く染まる場合はPASを考えましょう。

  1. 腎臓
    基底膜が染まる
  2. 肝臓
    グリコーゲンが染まる
  3. 大腸
    粘液または赤痢アメーバが染まる

  4. 粘液または印環細胞癌が染まる

  5. 真菌が染まる

この組み合わせで大体の試験はいけます。

ジアスターゼ消化試験

PAS反応が染める物質の中にグリコーゲンがあります。

グリコーゲンがあるか確認したいと思いPAS反応を使うと以下のようになります。

PAS染色

そういう場合にはジアスターゼ消化試験が行われます。

ジアスターゼ消化試験とは

唾液やジアスターゼ(アミラーゼ)を使ってPAS反応前にグリコーゲンを消化することです。

ジアスターゼ

この酵素で消化試験を行えばPAS反応に染まったものがグリコーゲンかそれ以外かを鑑別できます。

PAS染色

ジアスターゼで消化されないグリコーゲン以外の物質は以下のように表記されます。

  1. ジアスターゼ抵抗性PAS陽性物質
  2. ジアスターゼ消化PAS陽性物質

2.は「ジアスターゼ消化試験したけどPASに染まる」つまり消化されていないという意味です。

少しややこしいので気を付けましょう。

コメント

  1. 抹茶いちごクリームパン より:

    質問があります。
    PAS染色では酸性粘液と多糖類を染めると教えてもらいました。
    酸性粘液と多糖類を染めると言うことは酸性粘液多糖類も染めることができますか?もしできないのであれば理由も教えていただけると幸いです。
    また、酸性粘液、多糖類、酸性粘液多糖類の違いは何ですか?

    • 質問ありがとうございます。
      私もプロテオグリカンなどの構造を完全に理解しているわけではありませんが、知る範囲で回答させて頂ければと思います。

      ●【PAS染色では酸性粘液と多糖類を染めると教えてもらいました。】
      PAS反応が多糖類を染めるというのはその通りだと思います。
      ただ、酸性粘液も多糖類だと思うのでその分け方だと少し違和感があるような感じがします。

      ●【酸性粘液と多糖類を染めると言うことは酸性粘液多糖類も染めることができますか?】
      まず酸性粘液と酸性粘液多糖類は別物(多糖類の分類は下で説明してます)で、酸性粘液多糖類は基本的PAS反応で染まりませんが酸化時間を延ばした変法であれば染まるとされます。
      国試的には染まらないで覚えるのがいいと思います。

      ●【もしできないのであれば理由も教えていただけると幸いです。】
      PAS反応は過ヨウ素酸で糖質の近接水酸基、アミノアルコール基などの炭素鎖結合や不飽和脂肪酸の二重結合を開裂してアルデヒドを生成します。
      この際、通常の酸化条件ではヒアルロン酸などの酸性粘液多糖類は構造的に酸化されにくいそうです。
      そのため基本的には酸性粘液多糖類はPAS反応で染まりませんが酸化時間を延長すれば染まります。

      ●【また、酸性粘液、多糖類、酸性粘液多糖類の違いは何ですか?】
      多糖類は1種類の糖から構成される単純多糖類と2種類以上から構成される複合多糖類があります。
      単純多糖類にはグリコーゲンや真菌壁の構成成分などがあります。
      複合多糖類にはプロテオグリカンと呼ばれる酸性粘液多糖類や糖蛋白が存在し、糖蛋白の中に酸性粘液と中性粘液が存在します。
      プロテオグリカン(酸性粘液多糖類)はコア蛋白と呼ばれる1本のポリペプチド鎖にグリコサミノグリカン(GAG)という大きな糖鎖がくっ付いた構造をしています。
      普通の糖蛋白はこのような構造をもたないため他の糖蛋白とは区別されます。
      酸性粘液はさらに構造の違いからシアロムチンとスルホムチンがあり、シアロムチンはAlcian blue染色pH1.0では染まりませんが、スルホムチンは染まります。

      ちなみにざっくりいうと、プロテオグリカン(酸性粘液多糖類)が非上皮性粘液、糖蛋白の酸性粘液と中性粘液が上皮性粘液です。

      • 抹茶いちごクリームパン より:

        返信が遅くなり申し訳ございません。
        丁寧な解説ありがとうございます。
        酸性粘液と酸性粘液多糖類、中性粘液の違いが分からず困っていたため、助かりました。
        この解説を基に粘液の染色をマスターできるように頑張ります。