国試のための 細胞診 知識を全てまとめました

今回は 細胞診 について。
国試でも細胞診の問題は結構出題されてる。
ここでは必要な知識をイラスト付きで紹介するよ!

細胞診 と組織診の特徴

細胞診は患者から細胞を採取し、その細胞から疾患を判定する方法。

組織診は患者から組織を採取し、その組織から疾患を判定する方法。

細胞診と組織診の特徴は比較されるため知っておきましょう。

細胞診

長所
●侵襲性が少ない
●検査が反復しやすい
●標本作製が簡便で速い
●生検と比べ検体の採取範囲が広い
●尿など液状検体に対しても有用

短所
●直接擦過以外で原発部位の膵手が困難
●浸潤、深達度などの得られる情報が乏しい
●鏡検に時間がかかる
●検体採取法で所見が変化する

組織診

長所
●原発部位を推定できる
●浸潤、増殖様式、深達度など得られる情報が多い

短所
●侵襲性が大きい
●反復検査がしづらい
●標本作製が煩雑で時間がかかる
●液状検体は組織診断を行いづらい

この中の特に重要なものをイラスト付きで見てみましょう。

細胞診 は侵襲性が低い

組織診と比較して細胞診は侵襲性が低い。

細胞診は表面を擦過したり細い針で穿刺するため痛くない。
つまり侵襲性が低い

組織診は手術で臓器を丸ごとまたは一部を取るため痛い。
つまり侵襲性が高い

腫瘍の深達度(浸潤の有無)

細胞診は表面だけを擦るなど一部しか取れないためどこまで浸潤しているか分からない。
深達度が分からない

細胞診 標本作製の流れ

この流れで重要なポイントだけ見ていきましょう。

細胞診 検体の種類(採取法)と特徴

細胞診の検体と採取法には主に以下の4つがある。

①液状検体
尿、喀痰、体腔液など液状の検体。
液中に自然剝離した細胞を見るため剝離細胞診とも呼ばれ、スクリーニングに用いやすい。
粘性が弱いものは遠心し、粘性が強いものはすり合わせる。

②擦過
綿棒やブラシで擦って細胞を採取する方法。
液状検体より細胞量が多く、変性が少ない。

③穿刺吸引
注射器などで穿刺した後吸引し細胞を採取する。
体表に近い甲状腺リンパ節乳腺唾液腺体腔液などに有効。

④EUS-FNA
超音波が付いた内視鏡(EUS)を用いて穿刺吸引(FNA)を行う。
深部の消化管などから超音波画像を見ながら細胞を採取できる。

塗抹法

塗抹法とは採取した検体(細胞)をガラスに付ける(塗抹する)作業のこと。

覚えたいものは全部で約7種類ある。
※⑦の集細胞法にはさらに4つが含まれる。

①直接塗抹法
②引きガラス法
③すり合わせ法
④捺印法
⑤圧挫法
⑥吹き付け法(穿刺吸引)
⑦集細胞法

それぞれの方法の特徴どの検体にどの方法を用いるかを覚えましょう。

直接塗抹法

擦過して取った細胞を直接スライドガラスに塗抹する方法。

子宮頸部気管支口腔膵管胆管などブラシが入る部分に用いる。

引きガラス法

液状検体に用いる方法。

体腔液(胸水、腹水、脳脊髄液など)や尿などに用いる。

すり合わせ法

喀痰など粘度の高い検体に用いる方法。

捺印法

未固定の臓器に用いる。
リンパ節が多い。

圧挫法

比較的柔らかい小組織片の用いる。
特に脳腫瘍組織でよく用いる。

吹き付け塗抹

穿刺吸引法で採取した細胞をガラスに吹き付ける方法。

穿刺吸引する甲状腺リンパ節乳腺唾液腺体腔液などに有効。

集細胞法

集細胞法とは細胞を集めて塗抹する方法のこと。
以下の4種類ある。

遠心沈殿法
自動細胞収集法
ポアフィルター法
セルブロック法

どういうものか一つずつ確認してみましょう。

遠心沈殿法

体腔液・尿・脳脊髄液・胆汁・膵液など全ての液状検体に用いる。

通常3,000rpm程度で遠心するが、脳脊髄液は低回転数(1,000rpm程度)で遠心する。
(細胞が壊れやすいため)

自動細胞収集法

四角い穴が開いたチャンバーに液状検体を入れて遠心し、狭い範囲に塗抹する。
そうすることで細胞数が少ない検体でも効果的に塗抹することが可能。

ポアフィルター法(フィルター法)

直径5~10µm程度の孔があいたメンブレン(膜)フィルターに検体を通すことで大きな細胞だけメンブレン上に残る。
細胞回収率が高いため細胞数が少ない検体に特に有効。
粘度が高い検体は濾過できないため有効ではない。

セルブロック法

液状検体をパラフィンブロックにする方法。

組織と同様の操作を行うため以下を特徴とする。

①細胞数が少ないとできない

②ホルマリンで固定する
組織の固定に関する解説はこちら

③パラフィン包埋を行う
パラフィン包埋の解説はこちら

④薄切を行う(パラフィン切片を作製する)
薄切の解説はこちら

⑤細胞集塊や立体構造などの観察に有効

⑥一つの検体に複数の染色が可能

⑦免染やISHができる
免疫染色の解説はこちら

ISHの解説はこちら

固定

細胞診検体の固定はほとんど次の2種類で行う。

①95%エタノール
 パパニコロウ染色などを行う際に用いる。

②乾燥
 ギムザ染色を行う際に用いる。

95%エタノール固定

液体を使うため湿固定とも呼ばれる。

細胞診検体はパパニコロウ染色を行うが、その場合は95%エタノールで固定する。

通常、最低15分以上、可能であれば30分以上は固定したい。

①脱水によって細胞が収縮する
②濡れるため剥離しやすい

などの特徴がある。

乾燥固定

塗抹後に冷風で乾燥させる方法。

ギムザ染色時に使う。

乾燥させるため

①細胞が大きくなる

②細胞が剥がれにくい

などの特徴がみられる。

染色

細胞診で使う染色はたくさんあるが、とりあえず以下の2つについて違いをおさえたい。
まずは何に対して使うのか覚えよう。

①パパニコロウ染色
 ほとんどはこの染色を行う。

②ギムザ染色
 この染色を使うのは
体腔液(腹水、胸水、髄液)
気管支洗浄液
捺印(スタンプ)検体
などである。

それぞれの染色の特徴は以下の比較表を見ると分かりやすい。

そのほかの染色についてはそれぞれの染色の記事を参考にしてみてください。

細胞の見方(ベセスダシステム含む)

細胞診の見方については以下の問題が出題されている。

●一般的な悪性所見

●婦人科細胞診の画像問題
・トリコモナス原虫
・カンジダアルビカンス
・ヘルペスウイルス
・正常扁平上皮細胞
・軽度異形成(HPV感染)
・高度異形成
・上皮内癌
・腺癌
・扁平上皮癌

●呼吸器細胞診の画像問題
・正常気管支上皮細胞
・組織球
・腺癌
・扁平上皮癌
・小細胞癌

●体腔液細胞診の画像問題
・反応性中皮細胞
・腺癌

悪性腫瘍細胞の特徴(所見)

一般的な悪性所見

まずは一般的な悪性所見を覚えましょう。

所見は①背景②出現様式③細胞所見の3つがある。
この3つに含まれる悪性所見を覚えたい。

①背景の悪性所見

●壊死
モヤっとした無構造な物質でライトグリーンやエオジンに染まるものが多い。

●出血
検体採取時に出血することもあるので要注意。

●タンパク質成分
腫瘍の種類によってはアミロイドなどのタンパク成分がみられる。

●核線
核が壊れて線を引いたもの小細胞癌などに多い。

●小体
腫瘍によって細胞外や細胞内に小体がみられる。
種類によって形状は様々。

②出現様式

●大型細胞集塊
大きな細胞の集まりのこと。

●立体的集塊
集塊に立体性がある状態。腺癌に多い。
良性は平面的な集塊が多い。

●結合性の低下
集塊で出ずにばらけて出る。

●細胞極性の乱れ
良性は極性がそろっていることが多いが、悪性は乱れることがある。

●不整形集塊
正常の集塊構造と形が変わっている状態。

●相互封入像
一つの細胞に別の細胞が取り込まれている状態。

③細胞所見

●細胞や核の大小不同
細胞の大きさがバラバラな状態。

●N/C比の増大
細胞質Cに対する核Nが占める割合。高いほど悪いことが多い。

●核形不整
核の形がいびつな状態。

●核縁肥厚
核の縁が厚くなっている状態。

●粗大なクロマチン
クロマチン顆粒が大きくなっている状態。

●核小体の腫大
核小体が大きくなっている状態。

●核小体の増加
核小体の数が以上に多い状態。

●核分裂像
細胞分裂が起きている像。
正常でも見られるが、数が多い場合は悪いことがある。

●細胞質内小腺腔
細胞質内にみられる特殊な空胞。
乳癌で見られることがある。

●核内の封入体
核内にみられる好酸性、好塩基性封入体または細胞質の嵌入像のこと。
ウイルス感染や甲状腺癌などでみられる。

腺癌の悪性所見

腺癌とは腺細胞(円柱上皮細胞)が癌化したもの。

特徴をまとめると以下のようになる。

①集塊はシート状、立体的重積、放射状、印環細胞癌は孤立散在性に出現。

②ライトグリーン淡染の広い細胞質

③腺腔形成

④粘液貯留

⑤偏在性核

⑥軽度核異型

⑦細顆粒状~顆粒状のクロマチン

実際の細胞でみると以下のようになる。

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扁平上皮癌の悪性所見

扁平上皮癌とは重層扁平上皮細胞が癌化したもの。

特徴をまとめると以下のようになる。

①背景に壊死が見られる

②孤立性に出現する

③ライトグリーンやオレンジGなど多彩な染色性を示す

④角化細胞(強いオレンジGに染まる細胞)

⑤癌真珠(細胞が同心円状構造というぐるぐる構造)が出現する

⑥線維状、蛇状、オタマジャクシ状など細長い細胞が見られる。

⑦強い核形不整とクロマチン増量

※国試ではオレンジに強く染まる細胞があれば扁平上皮癌の可能性が高い。

実際の細胞でみると以下のようになる。

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小細胞癌の悪性所見

小細胞癌は神経内分泌細胞が癌化したもの。

特徴をまとめると以下のようになる。

①木目込み細工様配列

②狭い細胞質(裸核状)

③リンパ球3倍程度の細胞の大きさ

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子宮頸部 細胞診 のポイント

問題文に”子宮頸部”がある場合考えるのは以下の7つ。

①扁平上皮細胞

②ヘルペス感染細胞

③トリコモナス

④軽度異形成

⑤上皮内癌

⑥扁平上皮癌

⑦腺癌

この7つを覚えたら+αでカンジダアルビカンスと高度異形成も覚えたい。

また、ベセスダシステムについても知っておこう。

まずは上の①から⑦と+αの細胞像を覚えよう。

正常扁平上皮細胞
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ヘルペスウイルス感染細胞
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トリコモナス
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軽度異形成
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上皮内癌
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扁平上皮癌
臨床検査技師国家試験問題を改変
腺癌
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カンジダ・アルビカンス
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高度異形成
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ベセスダシステム

これは細胞診の分類法の一つ。

子宮頸部、甲状腺などに使われる。

国試では子宮頸部のベセスダシステムを覚えたい。

どこに何が分類されるかを覚えておこう!

呼吸器 細胞診 のポイント

問題文に呼吸器系キーワードが出たら下の5つを考えよう。

組織球
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線毛円柱上皮
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扁平上皮癌
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腺癌
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小細胞癌

※木目込み細工様配列とは細胞同士がギュッと押し合っている様子を表した言葉

臨床検査技師国家試験問題を改変
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体腔液 細胞診 のポイント

問題文に体腔液キーワード(腹水、胸水)が出たらまずは下の2つを考えよう。

反応性中皮細胞
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悪性中皮腫

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