PAS反応の全て!これを覚えないと国試は無理!


この記事ではPAS反応をかなり詳細に解説しています。
国家試験だけでなく細胞診にも使えるので最後まで見てね!
- 原理
- 試薬
- 何を染めるか
- どの組織が画像問題で出るか
- ジアスターゼ消化試験
PAS反応 の全体像
染色は全体の流れを何となく把握すると理解しやすくなります。
サラッと見ておきましょう。
- 脱パラ・脱キシ・親水
- 流水水洗から蒸留水
- 1%オルト過ヨウ素酸水溶液
(酸化) - シッフ試薬
(呈色) - 亜硫酸水
(分別) - 流水水洗
- マイヤーのヘマトキシリン
(核染色) - 流水水洗
- 色出し
- 脱水・透徹・封入
PAS反応は過ヨウ素酸とシッフ試薬で染める
PAS反応は❶酸化❷呈色の2つが重要です。
何で酸化して何で呈色するかは確実に覚えましょう。
- 過ヨウ素酸でグリコール基(水酸基が2つ並ぶ構造)やアミノアルコール基を酸化
- 酸化によって2個のアルデヒド(ジアルデヒド)ができる
- このアルデヒドにシッフ試薬が反応して赤紫色になる


❶酸化❷アルデヒド❸呈色
の流れを覚えよう!
PAS反応の名前は試薬の名前
PAS反応の名前の意味も見てみましょう。
- PASの【PA】はperiodic acid(過ヨウ素酸)
- PASの【S】はSchiff(シッフ)
試薬の名前がそのまま名前になっています。
こういうのが分かると覚えやすいですね。
PAS反応の原理と似た染色が4つある
PAS反応は❶酸化❷アルデヒド❸呈色が重要ですが、この❶〜❸の流れと同じ(似た)原理がPAS反応以外に4つあります。
- PAS反応
- 過ヨウ素酸で酸化
- アルデヒド基が出現
- シッフ試薬で呈色
- PAM染色
- 過ヨウ素酸で酸化
- アルデヒド基が出現
- メセナミン銀液で呈色
- Grocott染色
- クロム酸で酸化
- アルデヒド基が出現
- メセナミン銀液で呈色
- Gridley染色
- クロム酸で酸化
- アルデヒド基が出現
- シッフ試薬で呈色
- Feulgen反応
- 1N塩酸で加水分解
- アルデヒド基が出現
- シッフ試薬で呈色
ゴロを使った覚え方
PAS反応に似た原理は下のゴロで覚えるのも有効です。
【パスタをフォークで食べるパンダがグローブをはめてグリーティング】
- パス(PAS反応)
- フォーク(フォイルゲン反応)
- パンダ(PAM)
- グローブ(Grocott染色)
- グリーディング(グリドリー染色)


シッフ試薬の組成は3つ特徴は5つを覚える
PAS反応の原理は【酸化してシッフで呈色】なので、主な試薬は酸化剤の過ヨウ素酸とシッフです。
シッフ試薬は以下の組成と特徴も覚えましょう。
【シッフ試薬の組成】
- 塩酸
- 塩基性フクシン
- 亜硫酸水素ナトリウム
(別名:重亜硫酸ナトリウム)
【シッフ試薬の特徴】
- 塩基性フクシンを含む
- 赤く染まる
- 試薬は無色
- 室温に戻してから使用する
- シッフ試薬の交換時期は以下の方法で確かめる
- ホルマリンに滴下して呈色されない場合
- 刺激臭がない場合
シッフ試薬にはコールドシッフとボイルドシッフの2つがある。
塩基性フクシンが2倍含まれるコールドシッフの方が染色性が強いとされる。
注意点として、細胞診の参考書では染色強度の差はないと記載されるため、細胞検査士試験では問題文や他の選択肢によって正解かどうか考えたほうが良い。

PAS反応の試薬のゴロ
PAS反応で使う試薬はゴロで覚えるのも有効です。
【バスで通うアリと主婦】
- バス(PAS)
- 通う(過ヨウ素酸)
- アリ(亜硫酸水)
- 主婦(シッフ)


PAS反応で染まるもの一覧
PAS反応では多くのものが染まります。
検査技師国家試験ではまず赤字のものから覚えましょう。
- グリコーゲン
- 一部の上皮の粘液
- 小腸杯細胞
- 気管支線
- 気管支杯細胞
- 大腸杯細胞
- 食道粘液腺
- 子宮頸管腺
- 胃表層上皮
- 胃幽門腺
- ブルンネル腺
- 赤痢アメーバ
- 真菌
- 基底膜
- 刷子縁
- 細網線維
- コロイド
- 軟骨
- リポフスチン
- 好中球
- 不飽和脂肪酸
- アミロイド
- 神経細胞
- 髄鞘
赤文字5つは必須です。
これを覚えたら他のものも覚えましょう。
PAS反応で染まるもののゴロ
ゴロも作成したのでぜひどうぞ!
【染まったバスに何年も乗る、網模様の赤い服を着て狂ったコロは辛気臭い顔】
- 染まったバス(PAS反応で染まる)
- 何(軟骨)
- 年(粘液)
- 網(アミロイド)
- 赤い(赤痢アメーバ)
- 着て(基底膜)
- 狂った(グルコース)
- コロ(コロイド)
- 辛気(真菌)

PAS反応と組織画像の組み合わせ問題
特殊染色は画像問題で出題されることがあります。

画像問題は臓器の種類で染色が大体決まるよ!
PAS反応は下の組み合わせを知っておこう!
- 腎臓
基底膜が染まる - 肝臓・食道
グリコーゲンが染まる - 大腸
杯細胞の粘液または赤痢アメーバが染まる - 胃
表層上皮、幽門腺、印環細胞癌の粘液が染まる - 肺
真菌が染まる
この組み合わせで試験はほぼいけます。
実際に出題されたPAS反応の画像問題を解こう
●第57回臨床検査技師国家試験午後
次の文により53、54の問いに答えよ。
特殊染色標本(別冊No.10) を別に示す。

第57回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午後問題別冊
問題53 この臓器はどれか。
- 心 臓
- 肝臓
- 滕臓
- 脾臓
- 腎臓
問題54 染色法はどれか。
- PAM 染色
- PAS染色
- azan 染色
- PTAH 染色
- Bodian 染色
- 答えはここをクリック
-
問題53
答え 5問題54
答え 2
●第58回臨床検査技師国家試験午前
85歳の男性。
肺の空洞性病変を認めたため気管支鏡検査を行った。
生検組織のPAS染色標本(別冊No. 11)を別に示す。
原因菌として考えられるのはどれか。

第58回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午前問題別冊
- Aspergillus spp.
- Cryptococcus spp.
- Legionella spp.
- Mycoplasma spp.
- Pneumocystis spp.
- 答えはここをクリック
-
答え 1
●第62回臨床検査技師国家試験午後
問題53
大腸病変部の染色標本(別冊No. 7)を別に示す。
染色法はどれか。
- PAS 反応
- Gram 染色
- orcein 染色
- Grocott 染色
- Ziehl-Neelsen 染色

第62回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午後問題別冊
- 答えはここをクリック
-
答え 1(赤痢アメーバ)
●第71回臨床検査技師国家試験午前
問題50
PAS反応標本(別冊No. 9)を別に示す。
この臓器はどれか。
- 肝 臓
- 食 道
- 腎 臓
- 大 脳
- 脾 臓

第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午前問題別冊
- 答えはここをクリック
-
答え 3
グリコーゲンはジアスターゼ消化試験で消失する
PAS反応で染まる物質の1つにグリコーゲンがあります。
しかし、PAS反応に陽性を示すものが多すぎて、陽性物質がグリコーゲンかどうかがわかりません。

そのため、グリコーゲンかどうか確認したい場合はジアスターゼ消化試験が行われます。
ジアスターゼ消化試験の詳細
ジアスターゼ消化試験とはPAS反応を行う前にジアスターゼ(アミラーゼ)や唾液を反応させることです。

ジアスターゼや唾液中の酵素を反応させればPAS反応で染まったものがグリコーゲンかそれ以外かを鑑別できます。

- ジアスターゼ、唾液を反応(37℃加温)
- 水洗後、PAS反応
- ジアスターゼ処理してない標本も作製しておき、ジアスターゼ処理標本のみ陰性化したらグリコーゲンと判断
ジアスターゼで消化されないグリコーゲン以外の物質は以下のように表記されます。
- ジアスターゼ抵抗性PAS陽性物質
- ジアスターゼ消化PAS陽性物質
❷は「ジアスターゼ消化試験をしたけどPASに染まる」つまり消化されていない、グリコーゲン以外という意味です。
少しややこしいので気を付けましょう。
実際に出題されたジアスターゼ処理の画像問題を解こう
●第70回臨床検査技師国家試験午前
問題49
食道のPAS染色標本(別冊No. 9A)とα-アミラーゼ消化後のPAS染色標本(別冊No. 9B)を別に示す。消化試験で同定されるのはどれか。

第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午前問題別冊
- 線維素
- 中性粘液
- アミロイド
- グリコーゲン
- リポフスチン
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-
答え 3