【午後】 第71回臨床検査技師国家試験 解説・裏回答・周辺知識まとめ
この記事では2025年2月19日に実施された第71回臨床検査技師国家試験【午後】の病理、細胞診、解剖を主に解説していきます。
各設問の裏回答だけでなく、必要な周辺知識も全て記載しています。
関連する詳細な解説記事も載せているため71回国試の病理の問題全ての知識がここで手に入ります。
各問題は動画解説も作成しています。
動画および解説は完成次第、順次アップしていきます。
【問題と別冊の出典】
厚生労働省HP:第71回臨床検査技師国家試験問題および正答について
71回 午後の問題
71回 午後 問題45
薄切で切片に傷ができる場合の対処法はどれか。
- 逃げ角を変える。
- 刃を取り替える。
- 薄切する厚さの設定を変える。
- パラフィンブロックを冷却する。
- ミクロトーム刀の滑走速度を速くする。
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【この問題のポイント】
この問題は、薄切時に切片へ入る傷の原因がどこにあるかを理解し、適切な対処を選べるかを問う問題。
切片の傷は、刃の欠けで起こることが多い。
各選択肢はどんな状況に対する対応策かも理解しておきたい。
【各選択肢の解説】
1. 逃げ角を変える。
逃げ角は切った時の刃の下面とブロックの角度のこと。
角度が不適切だとチャタリングやうまく切れないなどの不具合が生じる。
つまり、チャタリングなどが見られた場合に設定を見直す必要があり、切片傷の改善はできない。
2. 刃を取り替える。
切片に一定間隔または連続した線状の傷が入る原因として最も多いのは、刃先の微小な欠けや刃の損耗、付着物である。
刃を新しいものに交換すると、刃先由来の傷は直ちに改善するため、対処として最も適切になる。
3. 薄切する厚さの設定を変える。
切片厚は切片のしわ、伸展性、チャタリングの出やすさなどに影響するが、切片の傷は厚さを変えても本質的には解決しない。
切片傷対策の第1選択ではない。
4. パラフィンブロックを冷却する。
冷却するとブロックが硬くなるため、軟らかすぎて引きずる場合や、切片が伸びすぎる場合には改善することがある。
ただ、切片の傷は冷却では消えない。
さらに冷やしすぎると硬化してチャタリングや割れ・欠けが出やすくなるため、切片傷対策としての第1選択ではない。
5. ミクロトーム刀の滑走速度を速くする。
薄切時の速度は早すぎても遅すぎでも良くないが、早すぎるとチャタリングなどのリスクが増える。
切片傷を改善する方法ではない。
71回 午後 問題46
膵臓の特殊染色(別冊No.8)を別に示す。
染色法はどれか。
- PAM染色
- Bodian 染色
- Grimelius 染色
- Warthin-Starry 染色
- Masson-Fontana 染色

出典;第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午後問題別冊
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【この問題のポイント】
この問題は膵臓の特殊染色像から染色法を同定する問題。
膵臓には内分泌腺のランゲルハンス島が散在し、内分泌細胞の分泌顆粒を示す銀染色が出題されやすい。
提示画像は島状の領域(ランゲルハンス島)に一致して、細胞内に黒褐色の顆粒が多数みられる。
これは内分泌顆粒を銀染色した像と一致する。
組織の特殊染色問題は場所と色だけでほぼ決めることができ、問題文に【膵臓】がある場合、染色はグリメリウス染色の可能性が高い。
また今回の選択肢は全て銀液用いるため、合わせて銀液も思い出したい。
| 染色名 | 銀液 | 加温の 有無 | 主な 対象物 |
|---|---|---|---|
| 渡辺の鍍銀 | アンモニア銀 | ✖️ | 細網線維 |
| PAM | メセナミン銀 | 〇 (65℃) | 糸球体基底膜 |
| コッサ反応 | 硝酸銀 | ✖️ | 石灰化物 |
| グリメリウス | 硝酸銀 | 〇 (37℃) | A細胞 内分泌顆粒 神経内分泌腫瘍 |
| マッソン・ フォンタナ | アンモニア銀 | 〇 (60℃) | メラニン 内分泌顆粒 神経内分泌腫瘍 |
| ヘルマン・ ヘレル ストローム | 硝酸銀 | 〇 (37℃) | D細胞 |
| ワルチン・ スターリー | 硝酸銀 | 〇 (37℃) | スピロヘータ ピロリ菌 |
| グロコット | メセナミン銀 | 〇 (約50℃) | 真菌 |
| ボディアン | プロテイン銀 | 〇 (37℃) | 神経原線維 |
| カハール | アンモニア銀 | 〇 (約55℃) | 神経膠細胞 |
【各選択肢の解説】
1. PAM染色
PAMは過ヨウ素酸メセナミン銀染色で、基底膜やメサンギウム基質などを黒く染める目的で用いられる。
代表的な対象は腎糸球体基底膜の描出。膵臓でこの像のようにランゲルハンス島の細胞内顆粒が選択的に黒く出る所見とは一致しない。


右:Grimelius 出典;第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午後問題別冊
2. Bodian染色
Bodian染色は神経原線維をプロテイン銀で染める染色法。
膵臓であれば神経叢や神経線維が染まるとは思われるが、提示像は島状構造の内分泌腺細胞に顆粒状に染まっているため像が一致しない。


右:Grimelius 出典;第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午後問題別冊
膵臓でBodian染色を出題することはないと言ってもいい。
Bodian染色はアルツハイマー病の老人斑の検出などに有用。
3. Grimelius染色
Grimelius染色は内分泌細胞を硝酸銀で黒褐色〜黒色に染める銀染色。
膵臓ではランゲルハンス島のA細胞が選択的に染まりやすく、提示像の島状部で散在性に褐色を示す所見が一致する。

ちなみに、B細胞とD細胞は以下の染色が有用であるが、国家試験に出る可能性は低い。
細胞検査士試験を受ける人は覚えたい。
- B細胞
アルデヒド・フクシン染色
【覚えるポイント】- 酸性および塩基性フクシンを含む
- B細胞や弾性線維を染める
- HBs抗原も検出可能
- D細胞
ヘルマン・ヘレルストローム染色
【覚えるポイント】- 硝酸銀を使う
- 加温する
- ラ氏島D細胞を染める
- A細胞
グリメリウス染色
【覚えるポイント】- 硝酸銀を使う
- 加温する
- 還元剤を使う
- 神経内分泌腫瘍に有効
- 好銀性・銀親和性細胞を両方染色可能
4. Warthin-Starry染色
Warthin–Starry染色は硝酸銀を使ってスピロヘータやヘリコバクターなどの検出に用いられる。
膵臓には通常用いられない。


右:Grimelius 出典;第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午後問題別冊
5. Masson-Fontana染色
Masson-Fontana染色はアンモニア銀で、メラニンや神経内分泌腫瘍の顆粒を染める染色法。
典型的な用途はメラニンやカルチノイドなど。
膵臓の正常内分泌細胞はこの染色で染めない。


右:Grimelius 出典;第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午後問題別冊
71回 午後 問題47
子宮頸部細胞診の Papanicolaou 染色標本(別冊No.9)を別に示す。
考えられる感染はどれか。
- カンジダ
- クラミジア
- トリコモナス
- ヘルペスウイルス
- ヒトパピローマウイルス

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【この問題のポイント】
この問題は子宮頸部のPap染色標本でみられる感染症の特徴的な細胞像を知っているか、その原因微生物を知っているかを問う問題。
感染症は特徴的な所見が出やすく、今回の選択肢それぞれにわかりやすい初見がある。
基本的な所見は知っておこう。
【各選択肢の解説】
1. カンジダ
カンジダは仮性菌糸(細長い糸状構造)と酵母様菌体(芽胞)が背景や細胞周囲にみられるのが特徴の真菌。
提示像のような多核化と強い核変化を主所見とする像とは一致しにくい。


2. クラミジア
クラミジア感染では、頸管腺細胞に細胞質内封入体がみられることで間接的に診断することが可能。Pap標本ではその封入体を星雲状封入体と呼ぶ。実際は細胞診よりもPCRや抗原検査を行う方が確実である。


出典
左ヘルペス:第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午後問題別冊
右クラミジア:National Cancer Institute (Dr. Lance Liotta Laboratory)
3. トリコモナス
トリコモナスは背景に原虫そのもの(小型で楕円〜洋梨形、核をもつ)が見え、炎症性背景(多数の好中球など)を伴いやすい。
今回の問題のように扁平上皮細胞の核が多核化して特徴的な核内変化を示すことが主な所見ではない。


出典
左ヘルペス:第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午後問題別冊
右トリコモナス:第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午前問題別冊
4. ヘルペスウイルス
子宮頸部のヘルペス感染では、扁平上皮細胞に特徴的な核所見が出る。
代表所見は以下の5つ。
- 細胞の多核化
- 核の相互圧排
- 核縁肥厚
- すりガラス状核
- 核内封入体
今回の問題画像は、❶同一細胞内に複数核が存在し❷核同士が接して形が押し合っている❸核縁が肥厚❹クロマチンがすりガラス状の4点から、ヘルペスウイルス感染の細胞像に合う。


出典
左:第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午後問題別冊
右:第56回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午前問題別冊
5. ヒトパピローマウイルス
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染はコイロサイトーシスが代表所見で、核周明庭と核腫大、核形不整などが特徴。
多核化がみられることはあるが、ヘルペスで重視される核の圧排やすりガラス状核は所見ではない。
問題の画像はコイロサイトより、核所見がヘルペスに寄っている。


出典
左:第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午後問題別冊
右:第61回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午前問題別冊
71回 午後 問題48
細胞内小器官で正しいのはどれか。
- 核は蛋白合成の場である。
- 細胞膜は脂質単層の構造を持つ。
- リボソームは蛋白分解の場である。
- ゴルジ装置には電子伝達系が存在する。
- ミトコンドリアは独自の遺伝情報を有する。
- 答えはここを以下のクリック
-
5
【この問題のポイント】
この問題は主要な細胞や細胞小器官の構造と役割について理解できているかを問う問題。
国家試験では以下の構造・小器官について覚える必要がある。
| 細胞の構造 | 膜構造 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 細胞膜 | 一重膜 | 細胞内外の物質調整 |
| 核 | 二重膜 | DNAの保持や転写 |
| 粗面小胞体 | 一重膜 | タンパク合成 |
| 滑面小胞体 | 一重膜 | 脂質合成と解毒 |
| リボソーム | なし | タンパク合成 |
| ゴルジ装置 | 一重膜 | タンパク修飾・分泌 |
| ミトコンドリア | 二重膜 | ATP産生 |
| リソソーム | 一重膜 | 異物の分解・消化 |
| ペルオキシソーム | 一重膜 | 過酸化水素分解 |
| 中心体 | なし | 細胞分裂 |
| 細胞骨格 | なし | 細胞形態保持、細胞移動 |
【各選択肢の解説】
1. 核は蛋白合成の場である。

核はDNAを保持し、遺伝子発現の中枢として転写(DNA→RNA)やRNAの成熟(スプライシングなど)が行われる場になる。
蛋白合成(翻訳:mRNA→蛋白質)の主な場はリボソームで、細胞質(遊離リボソーム)または粗面小胞体に付着したリボソームで行われる。
核内で蛋白合成が行われないわけではなく、核内へ輸送される蛋白は細胞質で合成されてから核へ移行する。
また、核内には核小体もあり、そこでリボソームの原料がつくられる。
2. 細胞膜は脂質単層の構造を持つ。

細胞膜はリン脂質二重層が基本構造になる。
疎水性部分が内側に向き合い、親水性頭部が細胞外と細胞内に向く。
膜蛋白(受容体、チャネル、輸送体など)やコレステロールが組み込まれ、流動モザイクモデルとして説明される。
単層ではなく二重層である点が重要。
3. リボソームは蛋白分解の場である。

リボソームは蛋白質合成(翻訳)の場。
蛋白分解は主に細胞質(ユビキチン-プロテアソーム系)やリソソーム(オートファジーやエンドサイトーシス経路)で行われる。
4. ゴルジ装置には電子伝達系が存在する。

ゴルジ装置は蛋白質の修飾(糖鎖付加など)、仕分け、輸送小胞形成に関与する小器官で、電子伝達系は存在しない。
電子伝達系はミトコンドリア内膜上に存在し、酸化的リン酸化に関与する。
5. ミトコンドリアは独自の遺伝情報を有する。

ミトコンドリアは独自の環状DNA(ミトコンドリアDNA)を持ち、tRNAやrRNA、呼吸鎖複合体の一部サブユニットなどをコードする。
独自のリボソームもミトコンドリア内に存在し、一部の蛋白はミトコンドリア内で合成される。
ただしミトコンドリア蛋白の約99%は核DNAにコードされ、細胞質で合成された後に輸送される。
独自DNAをもつ点は共生説として説明されることが多い。
71回 午後 問題49
上腹部の単純CT画像(第12の高さの横断面)とその模式図(別冊No.10)を別に示す。
矢印で示す臓器はどれか。
- 胃
- 肝臟
- 心臟
- 脾臓
- 大動脈

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【この問題のポイント】
【各選択肢の解説】
71回 午後 問題50
創傷治癒で正しいのはどれか。
- ケロイドは柔らかい組織である。
- 肉芽組織には毛細血管が乏しい。
- 創傷面が小さいほど瘢痕が形成されやすい。
- 二次的治癒では肉芽組織に依存して創傷が修復される。
- 一次的治癒は異物や細菌で汚染された創傷の治癒である。
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【この問題のポイント】
【各選択肢の解説】
71回 午後 問題51
病理解剖で誤っているのはどれか。
- 遺体に畏敬の念を持つ。
- 臨床経過の把握は不要である。
- 感染の危険性があることを認識する。
- 準備が整うまで遺体は冷蔵庫に保存する。
- 死後変化を少なくするため速やかに実施する。
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【この問題のポイント】
【各選択肢の解説】
71回 午後 問題52
術中迅速組織標本作製で最初に行うのはどれか。
- 固定
- 脱灰
- 脱脂
- 脱水
- 切り出し
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【この問題のポイント】
【各選択肢の解説】
71回 午後 問題53
免疫組織化学染色の検査対象となるのはどれか。
- DNA
- RNA
- 重金属
- 蛋白質
- 酵素活性
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【この問題のポイント】
【各選択肢の解説】
71回 午後 問題54
細胞学的検査法の特徴で誤っているのはどれか。
- 患者への侵襲が少ない。
- 検体採取が容易である。
- 液状検体の検査ができる。
- 腫瘍の病期を確定できる。
- 腫瘍の組織型を類推できる。
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【この問題のポイント】
【各選択肢の解説】
71回 午後 問題55
H-E 染色標本(別冊No.11)を別に示す。
この臓器はどれか。
- 気管
- 食道
- 大腸
- 皮膚
- 膀胱

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【この問題のポイント】
【各選択肢の解説】
71回 午後 問題56
アスベストばく露と関連する腫瘍はどれか。
- 胃癌
- 肝癌
- 乳癌
- 悪性黒色腫
- 悪性中皮腫
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【この問題のポイント】
【各選択肢の解説】
71回 午後 問題57
アミロイドβ蛋白の沈着を特徴とする疾患はどれか。
- Alzheimer 病
- Creutzfeldt-Jakob 病
- Guillain-Barré 症候群
- 進行性多巢性白質脑症
- 筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉
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【この問題のポイント】
【各選択肢の解説】
71回 午後 問題58
走査型電子顕微鏡標本の作製工程に含まれないのはどれか。
- 超薄切
- 金属イオン蒸着
- タンニン酸処理
- オスミウム酸固定
- グルタルアルデヒド固定
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