MT・CTのどっとゼブラです。
今回は血管 について。
検査技師国家試験に必要なポイントをイラストで解説します!
- 動脈と静脈の違い
- 動脈血と静脈血の違い
- 血液のルート3種
- 肺動脈と肺静脈
- 血管の3層構造
- 大動脈弓から直接分岐する血管
- 心臓の栄養血管と機能血管
- リンパ液の流れ
血管 と血液の循環
血液が流れる通路を血管とよび、その流れを起こすポンプが心臓。
この血管と心臓を合わせて血管系と呼ぶ。
血液の循環は体循環と肺循環の2種類。
動脈から静脈に移行する場所に毛細血管がある。
毛細血管や細静脈から組織液と呼ばれる液が血管外へしみ出す。
この組織液は再び毛細血管や細静脈の中に取り込まれるが、一部はリンパ管系と呼ばれる別の管系に入る。
一般に、血管系とリンパ管系を合わせて、脈管系あるいは循環系として扱う。
血管
血液を心臓に運び込む血管を静脈という。
静脈は脈を打たず、血液の流れる勢いも弱いが、血管内面に弁があり、血液の逆流が起こらないようになっている。
逆に、心臓から血液を運び出す血管を動脈という。
心臓に連なる太い動脈は、順次枝分かれをして細い動脈になっていき、非常に細い血管の網を作るようになる。
この血管を毛細血管という。
毛細血管はしだいに細い静脈へ、さらには太い静脈へと合流して心臓に戻る。
血液の3種類のルート
一般的な血液のルートは
- 心臓
↓ - 動脈
↓ - 毛細血管
↓ - 静脈
のパターン。
2つ目のルートは動静脈吻合(シャント)
- 心臓
↓ - 動脈
↓ - 静脈
の動脈から直接静脈に繫がるパターン。
3つ目のルートは門脈系
- 心臓
↓ - 動脈
↓ - 毛細血管
↓ - 門脈
↓ - 毛細血管
↓ - 静脈
のように門脈を経由するパターン。
この門脈は肝臓の前に存在する。
この血管は肝臓周辺の消化器で吸収した栄養などを肝臓に集めるためにある。
動脈血と静脈血
血管の中には血液が流れる。
流れる血液のほとんどは血管名とリンクする。
つまり動脈には動脈血、静脈には静脈血が流れる。
ただ血管とリンクしない血液もある。
何故そんなことが起きるかというと、
動脈に流れるのが動脈血
静脈に流れるのが静脈血
ではないから
では動脈血と静脈血とは何かというと、
酸素が多いのが動脈血
酸素が少ないのが静脈血
これがそれぞれの血液の意味。
さらにここでも説明した動脈と静脈の定義を掛け合わせると4種類の組み合わせができる。
- 動脈×動脈血
- 静脈×静脈血
- 動脈×静脈血
- 静脈×動脈血
この3と4は少数しか存在しないから問題にしやすい。
この後解説するから必ず覚えておこう!
3と4のような血液は
- 肺動脈と肺静脈
- 臍動脈と臍静脈
のみ。
肺動脈と肺静脈
肺動脈には静脈血が流れ、肺静脈には動脈血が流れる。
(肺動脈と肺静脈が分からない人はココのイラストで確認)
こうなる理由は以下のような血液の流れがあるためである。
大してややこしくないので必ずこの流れは覚えたいです。
臍動脈と臍静脈
これについては以下の記事で詳しく解説しています。
胎児循環と胎児の血管をイラストで分かりやすく解説!確認問題あり
胎児循環を理解していないという人は是非確認して下さい。
血管の層構造
血管の壁は以下の3層でできている。
- 内膜
- 中膜
- 外膜
それぞれの層の特徴を覚えましょう。
内膜
内膜は、内皮細胞がつくる単層扁平上皮(内皮)とそれを裏打ちする薄い結合組織からなる。
内皮は桿状のワイベル-パラーデ顆粒を持ち、これは血液凝固に関与する。
中膜
中膜は平滑筋と結合組織でできている。
太い動脈では中膜に弾性線維が発達している。
静脈は動脈に比べて弾性線維の発達が乏しい。
外膜
外膜は、まばらな結合組織でできており、はっきりとした境界はなく周囲の結合組織に移行している。
この部分には血管を栄養する血管の血管が存在する。
毛細血管の特徴
細動脈が分かれた先は赤血球がちょうど1個通れる程度の細い血管となり、これを毛細血管という。
一般に毛細血管は互いに分枝吻合して、血管の網(毛細血管網)を作っている。
毛細血管の壁は単層で扁平な内皮細胞とそのまわりをまばらに取り囲む周皮細胞からなっている。
毛細血管ではその壁を通して、血液と組織の間のガス交換や物質交換が行われる。
3種類の毛細血管
毛細血管には以下の3種類がある。
- 連続性毛細血管
- 有窓性毛細血管
- 洞様毛細血管
連続性毛細血管
内皮細胞が連続性を保っており、孔や隙間がない
ガスやイオン、低分子の物質を組織との間で交換する。
最も一般的で、たいていの組織で見られる。
有窓性毛細血管
内皮細胞に直径60~80nmの孔が開いている。
ホルモンなど血清蛋白質より小さい物質の交換を行うことができる。
組織と血液間での物質交換が盛んな、小腸や内分泌腺、腎臓でみられる。
洞様毛細血管
他の毛細血管よりもはるかに直径が大きく、内皮細胞は不連続で、大きな孔が開いている。
巨大分子や細胞などの交換を行うことができる。
造血機能を持つ骨髄や赤血球の破壊の場である肝臓・脾臓などでみられる。
静脈と リンパ管 の弁
静脈やリンパ管には弁が付いている。
これがあることで逆流を防ぐことができる。
動脈にはみられない。
心臓の解剖
心臓の筋肉についてはこちらで解説したのでここでは心臓周辺の血管について解説していきます!
心臓周辺の血管でおさえたいのは以下の2つ。
- 大動脈弓から直接分岐する血管
- 機能血管と栄養血管
大動脈弓から直接分岐する血管
まず全体像を確認しましょう。
心臓周囲の血管はこんな感じ。
大動脈弓とは左心室からから出た動脈のこと。
ここから全身に血液が送られる。
問題はココから分岐する血管。
大動脈弓から直接分岐するのは以下の3つ。
- 腕頭動脈
- 左総頸動脈
- 左鎖骨下動脈
心臓が左側にあるため腕頭動脈で右側に届くようにする必要がある。
この3つは確実に覚えましょう。
心臓の機能血管と栄養血管
機能血管と栄養血管とは
- 機能血管
その臓器の機能に影響する血管。 - 栄養血管
その臓器に栄養を与える血管。
心臓の場合、
機能血管は大動脈と大静脈
栄養血管は冠(状)動脈
となる。
心臓の主な機能は血液の循環である。
その機能を果たす主な血管が大動脈と大静脈であるため機能血管がその2つとなる。
一方で心臓も動くために栄養が必要である。
その栄養を貰うための血管が冠(状)動脈である。
この機能血管、栄養血管は梗塞の種類と関わりが深い。
そっちも下の記事で確認しておこう!
リンパ管 系
毛細血管や細静脈からは、血液の液性成分が絶えず組織内に漏出している。
このような組織内の液性成分(組織液)の多くは、再び血管系に吸収される。
しかし一部はリンパ管系という別の管系に入り、リンパ液として静脈に運ばれる。
リンパ管の主な機能は次の3つ。
- 免疫細胞とリンパ液をリンパ節に運ぶ
- 組織間隙に貯留する余分な体液を除去する
- 脂質を含んだ粒子であるカイロミクロンを腸絨毛の乳糜リンパ管(中心リンパ管)を通じて運ぶ
リンパ管 は静脈と合流する
細胞周囲の間質液や蛋白質のうち、毛細血管に吸収されなかった分がリンパ管に吸収される。
下半身や腹部、左頭頸部、左上肢などの大部分のリンパ管は、胸管に合流する。
右上半身は右リンパ本幹に合流する。
リンパ管は最終的に左右の静脈角で静脈と合流する。
コメント