【イラスト解説】上皮の全ての覚え方を解説


今回は上皮の解説と覚え方をすべて紹介します!

上皮の覚え方
ざっくりした覚え方があるものは赤文字で記載しています。
まず確認してみてください。
- 血管リンパ管(内皮)
- 漿膜(中皮)
分泌や再吸収など物質のやり取りが盛んな場所
- 甲状腺濾胞
- 腎尿細管
赤文字に該当しない単層立方上皮
- 卵巣表面
- 脈絡叢
分泌物を出すところ
- 消化器(口腔・食道・肝臓以外)
- 気管・気管支
- 子宮内膜
- 卵管 など
何かを運ぶところ
- 卵管
- 細気管支
- 精巣輸出管
- 脳室(上衣細胞)
赤文字に該当しない単層線毛円柱上皮
- 子宮体部の一部
刺激が多いところ
- 皮膚(角化型)
- 口腔(ほぼ非角化型)
- 中咽頭(非角化型)
- 下咽頭(非角化型)
- 声帯(非角化型)
- 食道(非角化型)
- 膣・子宮頸部膣側(非角化型)
- 角膜(非角化型) など
外に近い呼吸器
- 鼻腔
- 副鼻腔
- 上咽頭
- 喉頭
- 気管
- 気管支
赤文字に該当しない多列線毛円柱上皮
- 耳管
尿路
- 腎盂
- 腎杯
- 尿管
- 膀胱
- 尿道の一部
上皮の分類
上皮は下図のように約8種類あります。

上皮の種類を表す言葉
まず上皮を表す言葉には細胞の重なり具合を示すものがあります。

- 1層の場合 単層
- 多層の場合 重層
次にくる言葉は細胞の形を表す言葉です。

- 平たい細胞 扁平
- 少し背の高い細胞 立方
- すごく背が高い細胞 円柱
これ以外に特殊な言葉があります。

- 尿路に見られる特殊な上皮
移行(尿路) - 細胞の頭に生える毛
線毛 - 重層に見えるが高さが違う細胞が配列
多列
上皮の名前はこれらの言葉の組み合わせでできています。
組み合わせると以下の8種類になります。


次はそれぞれの上皮を詳しくて見ていこう。
単層扁平上皮

右図:左図のイメージ図。
単層扁平上皮は単層(1層)の扁平な細胞が並びます。
- 血管リンパ管(内皮)
- 漿膜(中皮)
- 腹膜(消化器を覆う)
- 胸膜(肺を覆う)
- 心嚢膜(心臓を覆う)


単層扁平上皮の細胞は場所で名前が変わる点にも注意してね!
- 血管やリンパ管【内皮】
- 漿膜【中皮】
単層立方上皮

右:左図のイメージ
少し背の高い細胞が1層に並ぶものが単層立方上皮です。
この上皮がある組織は少ないです。
分泌や再吸収など物質のやり取りが盛んな場所
- 甲状腺濾胞
- 腎尿細管

赤文字に該当しない単層立方上皮
- 卵巣表面
- 脈絡叢
単層円柱上皮

右:左図のイメージ
1層の背の高い細胞が並ぶ上皮。
分泌物を出すところ
- 消化器(口腔・食道・肝臓以外)
- 気管・気管支
- 子宮内膜
- 卵管 など

単層線毛円柱上皮
単層円柱上皮に線毛があれば単層線毛円柱上皮になります。
何かを運ぶところ
- 卵管
卵子を運ぶ - 細気管支
異物や粘液を運ぶ - 精巣輸出管
精子を運ぶ - 脳室(上衣細胞)
脳脊髄液の循環
赤文字に該当しない単層線毛円柱上皮
- 子宮体部の一部
単層線毛円柱上皮は単層円柱上皮の仲間。

問題で「単層円柱上皮は?」と聞かれて単層線毛円柱上皮を選ぶこともあるので注意してね。
線毛とは何なのかも確認しましょう。
線毛とは
円柱上皮や立方上皮の頭に生えた毛のことです。
この細胞の頭を以下のように呼ぶことも知っておいてください。
- 自由表面
- 頂端面
この線毛は細胞骨格の微小管でできています。


線毛には運動性があり、モノを動かすことができます。

この性質を利用して何かを動かす必要がある場所に線毛が生えています。
線毛でモノを動かす主な場所は以下の3カ所です。
- 気管支などの呼吸器
- 卵管
- 精巣輸出管

線毛の場所を覚える時はこのように覚えておきましょう。
線毛とよく似た言葉に微絨毛があります。
微絨毛は線毛と違い運動性がありません。
さらに線毛の付着部と微絨毛にはさらに似た呼び名があります。
- 線毛の付着部
終末板
(ターミナルバー) - 微絨毛部分
刷子縁
例えば「刷子縁があるのは?」のような問題が出ます。
そのような問題で線毛を持つ細胞を選ばないように注意しましょう。
重層扁平上皮
扁平な細胞が何層にも重なった上皮。


実際は扁平な全てが扁平な細胞じゃない点に気をつけて!
重層扁平上皮は下から上に分化します。
そして下の方は丸く、上に行くほど扁平になります。

この上皮は重層化することで刺激に耐えることができます。
そのため刺激がある場所に存在します。
刺激が多いところ
- 皮膚(角化型)
- 口腔(ほぼ非角化型)
- 中咽頭(非角化型)
- 下咽頭(非角化型)
- 声帯(非角化型)
- 食道(非角化型)
- 膣・子宮頸部膣側(非角化型)
- 角膜(非角化型) など
重層扁平上皮はデスモソーム結合が目立つのも特徴です。
これは細胞間橋とも呼ばれます。
した画像の細胞間のトゲトゲ(線)が細胞間橋です。

角化型と非角化型
重層扁平上皮は角化型と非角化型の2種類があります。
角化型は分化して最終的に細胞が垢となって剥離していきます。
非角化型は最後まで垢にはなりません。
組織像をみると次のような見た目の違いがあります。

食道などの粘膜では垢がたくさん出ると困ります。
そのため非角化型で被覆されています。
皮膚や口腔内の一部が角化型で被覆されます。
- 歯肉
- 硬口蓋
- 舌背
重層立方上皮と重層円柱上皮
この2つはほとんどありません。
そのため問題として扱われることもほぼありません。
覚えなくてよいと思います。
多列(線毛)円柱上皮
背の高い細胞が列をなしてる上皮です。
この上皮の多くは線毛が生えています。

右:左のイメージ
画像で見ると重層しているように見えますが、重層していません。
様々な高さの細胞が入り混じってると考えられています。
この上皮は呼吸器系に多いと覚えましょう。
外に近い呼吸器
- 鼻腔
- 副鼻腔
- 上咽頭
- 喉頭
- 気管
- 気管支
(主気管支〜亜区域気管支レベル)
赤文字に該当しない多列線毛円柱上皮
- 耳管
移行(尿路) 上皮
尿路系にある特殊な上皮。

この上皮も層構造に見えます。
アンブレラ細胞(被蓋細胞)という一番上の細胞が特徴です。
昔は移行上皮と呼ばれていましたが、今は尿路上皮と呼ぶことが多いです。
円柱状の細胞細胞から扁平状の細胞に変化するように見えることから移行上皮と付けられたそうです。
実際は移行するわけではなく、同じ細胞の形態が変化しているだけであったため、名称が尿路上皮に変更されたと言われています。
この形態変化を膀胱で見てみましょう。
膀胱が空の時は円柱状に見え、尿で充満している時は押されて扁平状になります。

この上皮は尿路に限定して見られます。
尿路
- 腎盂
- 腎杯
- 尿管
- 膀胱
- 尿道の一部
似た上皮の見分け方
重層扁平上皮
vs
尿路上皮
vs
多列線毛円柱上皮

これらの上皮の見分けが難しいとよく相談をもらいます。
この原因は明白で、全て層が厚いからです。
まずは以下のわかりやすい点に注目して鑑別しましょう。

●重層扁平上皮
単純に層が厚い場合はこれ。
角化の場合は一番上の核が無く赤いのでより分かりやすい。

●尿路上皮
層が厚くて層の一番上に乗っている細胞があればこれを選ぶ。

●多列線毛円柱上皮
層が厚くて一番上に毛が生えていたらこれを選ぶ。
まとめ
- 血管リンパ管(内皮)
- 漿膜(中皮)
分泌や再吸収など物質のやり取りが盛んな場所
- 甲状腺濾胞
- 腎尿細管
赤文字に該当しない単層立方上皮
- 卵巣表面
- 脈絡叢
分泌物を出すところ
- 消化器(口腔・食道・肝臓以外)
- 気管・気管支
- 子宮内膜
- 卵管 など
何かを運ぶところ
- 卵管
- 細気管支
- 精巣輸出管
- 脳室(上衣細胞)
赤文字に該当しない単層線毛円柱上皮
- 子宮体部の一部
刺激が多いところ
- 皮膚(角化型)
- 口腔(ほぼ非角化型)
- 中咽頭(非角化型)
- 下咽頭(非角化型)
- 声帯(非角化型)
- 食道(非角化型)
- 膣・子宮頸部膣側(非角化型)
- 角膜(非角化型) など
外に近い呼吸器
- 鼻腔
- 副鼻腔
- 上咽頭
- 喉頭
- 気管
- 気管支
赤文字に該当しない多列線毛円柱上皮
- 耳管
尿路
- 腎盂
- 腎杯
- 尿管
- 膀胱
- 尿道の一部