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【核酸の染色まとめ】❶フォイルゲン反応❷メチル緑・ピロニン染色❸ブリリアント・クレシル青染色❹X染色質染色❺マン染色

核酸の染色まとめサムネ
どっとぜぶら
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核酸とはDNAやRNAのことです。
DNAやRNAを特異的に染め出すことで、特定の疾患の鑑別などができます。

また、核小体やX染色質といった特定の核酸を検出する染色法もあります。

臨床検査技師国家試験では前者2つ、細胞検査士試験では後者も合わせた全ての染色をマスターしましょう。

この記事の著者

どっとぜぶら
どっとぜぶら
細胞検査士
臨床検査技師
医学博士
Profile
・細胞検査士試験 1発合格
・12月からの勉強でMT国試150点

少しでも多くのMT, CT学習者の役に立ちたいと思いSNSなどで情報発信中。
テーマは【勉強ができない人はいない。やり方次第で誰でもできる!】
細胞診過去問解説集や病理の国試解説集を出しました。

核酸の染色5種類

5つの核酸染色
  1. フォイルゲン反応
  2. メチル緑・ピロニン染色
  3. ブリリアント・クレシル青染色
  4. X染色質染色
  5. マン染色
  6. ヘマトキシリン

ヘマトキシリンHE染色で解説したのでここでは割愛します。

❶フォイルゲン反応

フォイルゲン反応の画像
出典:Heitorsilva3, Reação de Feulgen1.jpg, [Wikimedia Commons](CC BY-SA 4.0)
フォイルゲン反応の画像

フォイルゲン反応(Feulgen reaction)は塩酸シッフ試薬を使ってDNAを染める方法です。
この染色の最大のポイントはDNAを定量できる点です。

フォイルゲン反応のポイント
  1. DNAを赤く染める
  2. DNA量を定量できる
  3. 原理がPAS反応と似ている
  4. 塩酸とシッフ試薬を使う
  5. 加温する

フォイルゲン反応の全体像

特に重要な点は赤文字にしています。
(水洗は省略)

  1. 脱パラ・脱キシ・親水
  2. 1N(1M)塩酸加温:60℃】
    (加水分解)
  3. 1N塩酸
    (洗浄)
  4. シッフ試薬
    (呈色)
  5. 亜硫酸水
    (洗浄)
  6. 脱水・透徹・封入

フォイルゲン反応はDNAを染色・定量する

フォイルゲン反応はDNA(核)を染めます

フォイルゲン反応:DNAを定量する
フォイルゲン反応:DNAを定量する

さらにこの染色の利点は染色強度がDNA量と比例することです。
つまりDNA量を色で定量できます。

フォイルゲン反応:DNAを定量する
フォイルゲン反応:DNAを定量する

フォイルゲン反応の原理

フォイルゲン反応の原理はPAS反応とよく似ています。

フォイルゲン反応の原理
フォイルゲン反応の原理:塩酸で加水分解してシッフ試薬で呈色

PAS染色と似た原理は全部で5種類あります。
試験にも出題されているので必ず覚えておきましょう。

シッフ試薬の組成も頻出なので確実に覚えましょう。

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❷メチル緑・ピロニン染色

メチル緑・ピロニン(methyl green pyronin)染色は塩基性色素であるメチル緑でDNAピロニンでRNA(核小体や粗面小胞体)を染める染色です。

メチル緑という名前ですが、この色素の染色結果はほぼ青色である点は注意。

また、別名「ウンナ・パッペンハイム染色」とも呼ばれ、パッペンハイム染色(ギムザ染色)と混同させる問題が出題されます。

phが重要でpH4.2の酢酸緩衝液を使いますが、高い時と低い時は以下のような影響があります。

  • pHが高い時:メチル緑に染まりやすい
  • pHが低い時:ピロニンに染まりやすい
メチル緑・ピロニン染色のポイント
  1. 形質細胞の検出に有効
  2. メチル緑でDNAを青に染める
  3. ピロニンでRNAを赤く染める
  4. 両色素とも塩基性色素
  5. pH4.2の酢酸緩衝液を用いる
  6. 別名:ウンナ・パッペンハイム染色

メチル緑・ピロニン は形質細胞の検出に有効

形質細胞は抗体(免疫グロブリン)を作るB細胞性リンパ球です。

形質細胞の特徴
形質細胞の特徴:細胞質にRNAが豊富

形質細胞の細胞質はRNA(粗面小胞体)が豊富で、核にはDNAが豊富に含まれています。

そのため、核(DNA)はメチル緑で青く染まり、RNAが多い細胞質はピロニンで赤く染まります。

メチル緑・ピロニンの形質細胞の染まり方
メチル緑・ピロニンの形質細胞の染まり方 細胞質が赤、核が青

このように特徴的な染まり方をするため、形質細胞や形質細胞由来の腫瘍などの検出に有効です。

メチル緑・ピロニンが有用な疾患

形質細胞に有効なため、形質細胞が腫瘍化した多発性骨髄腫(形質細胞腫)に有効です。

❸ブリリアント・クレシル青染色

ブリリアント・クレシル青(brilliant-cresyl-blue)染色は核小体青く染める染色です。
超生体染色と呼ばれる方法の1つで、未固定の生きた細胞を染める。

超生体染色の一覧
  1. ブリリアント・クレシル青
    核小体やハインツ小体など
  2. インジゴカルミン
    胃や大腸の内視鏡検査で使われる青色の色素。
  3. ニューメチレン青
    網状赤血球
  4. ヤーヌス緑
    ミトコンドリア(糸粒体)
  5. 中性赤
    細胞質内顆粒・空胞

❹X染色質染色

X染色質(X-chromatin)染色はその名の通り、X染色質を染める染色法です。

X染色体は2本(ヒトにおける女性の染色体)以上ある場合、1本が不活性化しています。

この現象はライオ二ゼーションと呼ばれ、凝縮して不活性化したX染色体は
X染色質】【Xクロマチン】【バー小体
などと呼ばれます。

このX染色質は塩基性色素クレシル紫で染めることができます。
X染色質は核膜に接して存在しているのが特徴的です。

X染色体の数によってX染色質の違いがあります。

  • X1つ(正常男性)
    45, XY
    X染色質:0
  • X1つ(ターナー症候群)
    45, XO
    X染色質:0
  • X2つ(正常女性)
    46, XX
    X染色質:1
  • X2つ(クラインフェルター症候群)
    47, XXY
    X染色質:1
  • X3つ(トリプルX)
    47, XXX
    X染色質:2

❺マン染色

マン(mann)染色は核小体、クロマチンを青紫に染める染色です。

核小体はエオジン、クロマチンはメチル青で染めます。

核酸の染色に関する練習問題

問1
フォイルゲン反応の最大の特徴は何?

A.DNA量を定量的に評価できる。
B.メチル緑とピロニンという2種類の色素を使用する。
C.生きた細胞を染色する超生体染色である。
D.RNAを特異的に赤く染色する。

Q
答えはここをクリック

A

問2
メチル緑・ピロニン染色における形質細胞の染まり方は?

A.核が赤色に、細胞質が青色に染まる。
B.細胞全体が均一に赤色に染まる。
C.細胞全体が均一に青色に染まる。
D.核が青色に、細胞質が赤色に染まる。

Q
答えはここをクリック

D

問3
超生体染色に分類されるものはどれ。

A.ブリリアント・クレシル青染色
B.メチル緑・ピロニン染色
C.フォイルゲン反応
D.X染色質染色

Q
答えはここをクリック

A


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