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この記事ではメセナミン銀で真菌を染めるGroott(グロコット)染色を解説します!
ゴロもあるので試験対策で使ってね!
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・細胞検査士試験 1発合格
・12月からの勉強でMT国試150点
少しでも多くのMT, CT学習者の役に立ちたいと思いSNSなどで情報発信中。
テーマは【勉強ができない人はいない。やり方次第で誰でもできる!】
細胞診過去問解説集や病理の国試解説集を出しました。
グロコット染色の全体像
染色は全体の流れを何となく把握すると理解しやすくなります。
特にこの染色は原理も大事なので確認してみてください。
※水洗は省略
- 脱パラ・脱キシ・親水
- クロム酸
(酸化)
真菌細胞壁にある多糖類(キチン)のヒドロキシ基を酸化してアルデヒド基にする
- 亜硫酸水素ナトリウム水溶液
(還元)
- メセナミン銀液
(反応)
生じたアルデヒド基に反応して黒に染める
- 塩化金水溶液
(置換)
銀粒子を金粒子に置換して染色結果を安定させる
- チオ硫酸ナトリウム水溶液
(定着)
染色結果を安定させる
- ライト緑液
(染色)
背景を緑に染める
- 脱水・透徹・封入
グロコット染色で覚える4つのこと
グロコット染色はまず以下の4つから覚えましょう。
グロコット染色で覚える4つのこと
- 原理
- クロム酸とメセナミン銀を使用する
- 真菌が黒く染まる
- 放線菌、ノカルジア、ムコール、イロヴェチにも有効
グロコット染色はクロム酸で酸化してメセナミン銀で呈色する
グロコット染色はPAS反応と似た原理で進みますが、流れが少しだけ異なります。
PAS反応と同様にグロコット染色も❶酸化❷呈色の2つが重要です。
何で酸化して何で呈色するかは確実に覚えましょう。
グロコット染色の酸化と呈色の流れ
- 真菌の細胞壁にはヒドロキシ基(OH)を含む第一級アルコールが組織より多く存在する。
- これをクロム酸で酸化するとアルデヒドが生成される。
- さらに酸化すると、カルボキシ基にまで変化する。しかし元々第一級アルコールを多く含む真菌はアルデヒドが残存する。
- 残存したアルデヒドがメセナミン銀と反応して最終的に真菌壁を黒く染める。
グロコット染色の原理
※実際はもう少しややこしいですが簡略化して解説しています。
アルデヒドが銀を還元し、加温することでホルマリンが生じて金属銀が沈着する流れがありますが、覚えなくて良いです。
メセナミン銀液は硝酸銀からつくる
メセナミン銀という試薬が出てきましたが、この銀は存在しません。
硝酸銀といくつかの試薬を混合して作られたものを【メセナミン銀液】と呼びます。
メセナミン銀液の組成
- メセナミン(ヘキサメチレンテトラミン)
- 硝酸銀
- ホウ砂
「硝酸銀を使う染色は?」という問題で答えになる可能性もあるので注意しておこう!
メセナミン銀を使う染色ゴロ
グロコット染色は真菌や放線菌を黒く、背景を緑に染める
グロコット染色の主な目的は真菌を黒く染めることです。
さらに真菌だけでなく、細菌を染めることも可能です。
グロコット染色で染まるもの
- 真菌全般(特に呼吸器系に関する菌を染めることが多い)
- アスペルギルス
- ムーコル
- クリプトコッカス
- ニューモシスチス・イロヴェチ
- カンジダ
など
- 放線菌
ムーコルや放線菌はPAS反応やグリドリー染色では染まりにくいとされるため、グロコット染色が有効になります。
背景はライトグリーンで緑に染めます。
真菌を染める染色は全部で8つ
真菌が染まる染色は8つあります。
真菌を染める染色7つ
- グロコット
- PAS反応
- グリドリー
- ムチカルミン
(クリプトコッカス)
- 墨汁法
(クリプトコッカス)
- グラム
- ラクトフェノール・コットン青
- ベストのカルミン
クリプトコッカスは特殊で他にも染まる染色があります。
クリプトコッカスの染色まとめ
- アルシアン青
- PAS反応
- グロコット
- ムチカルミン
- 墨汁法(陰性になる)
- マッソン・フォンタナ
- トルイジン青
グロコット染色の関連問題
64回PM53
肺の特殊染色標本(別冊No.5)を別に示す。
染色法はどれか。
1.Gram 染色
2.orcein 染色
3.Giemsa 染色
4.Grocott 染色
5.mucicarmine 染色
出典:厚生労働省ホームページ
第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答について午後問題別冊