【クリューバー・バレラ染色】これだけ覚えればOK!試験の5つのポイント

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鞘とニッスル小体を染めるクリューバー・バレラ(Klüver-Barrera )染色を徹底解説!
5つのポイントをおさえて国試に挑もう!
目次
クリューバー・バレラ染色の4つのポイント
クリューバー・バレラのポイントまとめ!
- 髄鞘とニッスル小体を染める
- 髄鞘はルクソール・ファスト青、ニッスル小体はクレシル紫で染める
- 染色時に加温する
- 切片は厚めに切る
- 脱髄や神経変性など中枢神経系の病変や構造変化を評価する
クリューバー・バレラ染色は髄鞘とニッスル小体を染める
クリューバー・バレラ染色は1つの切片上で神経細胞の髄鞘とニッスル小体を同時に染めることを目的です。
髄鞘とは?

神経細胞の軸索を何重にも取り囲む脂質に富んだ膜構造。
電気信号の伝導を速くし、軸索を絶縁・保護する役割を持つ。
中枢神経ではオリゴデンドロサイト、末梢神経ではシュワン細胞によって形成される。
ニッスル小体とは?

神経細胞の細胞体や樹状突起に見られる、粗面小胞体とリボソームが集まった顆粒状の構造。
タンパク質合成が盛んな神経細胞に特徴的で、塩基性色素(クレシル紫、チオニン、トルイジンブルーなど)で染色され、光学顕微鏡で観察できる。
クリューバー・バレラ染色はルクソール・ファスト青とクレシル紫を使う
クリューバー・バレラ染色では2つの色素が使われます。
クリューバー・バレラで使う2つの色素
- ルクソール・ファスト青
髄鞘を染める色素。染色原理はよくわかっていない。 - クレシル紫
主にニッスル小体を染める色素で他に核や核小体も染める。
塩基性色素に分類される。
クレシル紫単体の染色はこちら
クリューバー・バレラ染色は加温する
クリューバー・バレラ染色で使う2つの色素は加温しながら染色します。
色素を使う温度
- ルクソール・ファスト青
56℃ - クレシル紫
37℃
- 切片を厚めに切る
(5~10µm) - 脱パラ・脱キシ
- ルクソール・ファスト青【56℃加温】
- 95%エタノール
(洗浄) - 0.05%炭酸リチウム
(分別) - 70%エタノール
(分別) - 蒸留水
(分別停止) - 0.1%クレシル紫【37℃加温】
(染色) - 95%エタノール
(分別) - 脱水・透徹・封入
クリューバー・バレラ染色は切片を厚めに切る
クリューバー・バレラ染色は5~10µmで薄切します。
※通常の切片は3~4µm

【神経系の染色は厚めに切る】と覚えておこう!
薄切の知識もここで全て手に入る!

【病理組織の薄切】イメージしづらい薄切をイラストで徹底解説
クリューバー・バレラ染色で脱髄性疾患が分かる
髄鞘を染めることができるため、脱髄が見られる脱髄性疾患が分かります。
脱髄とは?
神経線維を取り囲む髄鞘が障害・破壊されること。
脱髄が生じつ疾患を脱髄性疾患と呼ぶ。
脱髄が生じると、神経の電気信号の伝導が遅くなったり、うまく伝わらなくなり、さまざまな神経症状が現れる。

脱髄性疾患には以下のようなものがあります。
- 多発性硬化症
中枢神経系に多発性の脱髄病変が生じる。 - ギラン・バレー症候群
末梢神経が障害される自己免疫性疾患。
脱髄によるものと軸索が障害されるものの2種類がある。 - 進行性多巣性白質脳症
JCウイルス(ポリオーマウイルスの1種)による脱髄性疾患。
過去に出た問題を確認

最後に過去問を解いて知識を定着させよう!
66AM46
小脳のKlüver-Barrera染色標本を次に示す。矢印で示すのはどれか。
- 砂粒体
- Nissl小体
- Russel小体
- Mallory小体
- アミロイド小体

- 答えはここをクリック
-
答え:2
【解説】
矢印がさす細胞は神経細胞の細胞体。
中央に黒紫に染まる核小体があり、その周りの白く抜けている部分が核、さらにその周りの顆粒状の紫色部分が細胞質です。- 砂粒体はカルシウムが主成分の石灰化物のこと。卵巣、子宮内膜の漿液性癌や甲状腺乳頭癌などで見られる。カルシウムを含むためコッサ反応が有用である。
コッサ反応の解説はこちら - この記事でも解説したように、クリューバー・バレラ染色はNissl小体が染まるため正解。
- Russell小体は形質細胞腫瘍の細胞質に見られる免疫グロブリンの塊。PAS反応に陽性を示す。
- Mallory小体は肝細胞癌などの肝疾患細胞の細胞質に見られる中間径フィラメントからなる小体。HE染色で好酸性に染まる。関連する特殊染色はあまり聞かない。
- アミロイド小体はアミロイドーシスなどで見られるアミロイドの塊。アミロイドの染色にはコンゴー赤やダイレクト・ファスト・スカーレットなどがある。
アミロイド染色の詳細な解説はこちら
- 砂粒体はカルシウムが主成分の石灰化物のこと。卵巣、子宮内膜の漿液性癌や甲状腺乳頭癌などで見られる。カルシウムを含むためコッサ反応が有用である。
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