MT・CTのどっとゼブラです。
今回は 腎臓 について。
国家試験では解剖から染色まで相当な数が出題されている。
ここで全て押さえて点を取りに行こう!
- 解剖と構造
・胚葉
・重さ
・位置
・肉眼構造
・傍糸球体装置 - 組織像
基本と膵臓との鑑別 - 関連する特殊染色
・PAS反応
・PAM染色
・AZAN染色
・Masson trichrome染色 - 疾患
・腎摘出後の肥大
・水腎症と圧迫萎縮
・腎細胞癌と腎芽腫の名前
・腎がんの転移先
・腎臓の貧血性梗塞
腎臓 の解剖と構造
腎臓の解剖で覚えたいのは次の5つ。
- 胚葉
- 重さ
- 位置
- 肉眼構造
- 傍糸球体装置
一つずつ確認していきましょう!
胚葉
腎臓 は中胚葉。
泌尿器系は
腎臓より上が中胚葉。
腎臓から下が内胚葉。
なので注意。
腎臓 の重さ
腎臓の重さは約100g(片方のみ)。
腎臓は重量も必ず覚えたい。
腎臓の位置
腎臓の位置で重要ポイントは2つ。
- 後腹膜臓器である
- 肝臓の真下にある
腎臓は後腹膜臓器
腎臓は後腹膜臓器の一つ。
腎臓は前方が腹膜に覆われ、後方は腹壁にくっ付いている。
このように腹壁に固定された器官を後腹膜臓器と呼ぶ。
後腹膜臓器をまとめると以下の9つ。
- 膵臓
- 腎臓
- 副腎
- 十二指腸
- 上行結腸
- 下行結腸
- 大動脈
- 下大静脈
- 尿管
膵臓と腎臓の出題頻度が圧倒的に高い。
まずはその2つを覚えてから他も覚えていこう!
腎臓 と 肝臓の位置関係
肝臓は上にある肝臓と接している。
さらに右腎は肝臓に押されて少し低い位置にある。
腎臓の肉眼像
腎臓はソラマメのような形で被膜を持つため表面に光沢がある。
表面に近い皮質と腎盂に近い髄質に大別され、この2つを合わせて実質と呼ぶ。
腎門部は腎動静脈と尿管が出入りする。
腎盂は尿路上皮で覆われている。
腎小体と尿細管
腎小体
皮質と髄質部分を拡大すると腎小体と尿細管がみられる。
腎小体はボウマン嚢+糸球体からできている。
毛細血管からできた糸球体をボウマン嚢が取り囲む。
糸球体で濾過された原尿(尿のもと)は尿細管を通って腎盂に流れる。
この腎小体と尿細管を合わせてネフロンと呼び、片腎に約100万個ある。
腎小体には極性(向き)があり、以下の様に呼ばれる。
- 血管極:血管が入ってくる側
- 尿細管極:尿細管と繋がる側
尿細管
尿細管は尿が通る細い管のこと。
①近位尿細管②ヘンレ係蹄③遠位尿細管④集合管の順に尿が通り、腎盂に流れる。
尿細管の上皮は単層円柱上皮。
表面に微絨毛が生えており、ミトコンドリアを多く含む。
傍糸球体装置
腎小体の血管極には傍糸球体装置が存在する。
この装置の機能は尿量の調節で以下の3つの細胞で構成される。
- 緻密斑
Cl-濃度を感知し、プロスタグランジンを放出して血圧を上げる。遠位尿細管の一部が変化したもの。 - 糸球体傍細胞
レニンを分泌して血圧を上げる。 - ゴールマハティヒ細胞
緻密斑からの指令を中継する。詳細は不明。
腎臓 の組織像
上組織像では中央に腎小体がみられる。
周囲は全て尿細管である。
この腎小体の特徴的な組織像を必ず覚えよう!
腎染色の画像問題はこの組織像が分かるかどうかで全てが決まるよ。
腎臓と膵臓を間違える人がよくいます。
2つを比べてみましょう。
下の画像はどちらが腎臓?
右が腎臓(左は膵臓)
この2つを迷う理由として両方に丸い構造が見られる(腎ん腎小体、膵はラ氏島)ことが挙げられる。
ただ明らかに鑑別は可能。
鑑別点としては次のようなものがある。
- 膵臓の丸い構造は周囲より白っぽいことが多い。
- 腎小体周囲にある尿細管には腔(穴)がある。
- 膵ラ氏島の周囲は腺房でぎっしり詰まっていることが多い。
迷ったときはこの3つに着目してみよう!
腎臓 に関連する特染
組織の画像が腎臓だと分かった場合次の4つから考える。
- ほぼ赤→PAS
- 黒い線→PAM
- 核が赤、線が青→AZAN
- 核が濃紫、線が青→Masson trichrome
腎臓が来たら色だけに着目するようにしよう。
一つずつ確認してみましょう。
全体がほぼ赤い場合はPAS反応を選ぶ。
黒い線があればPAM染色を選ぶ。
\PAM染色の解説はこちら/
核が赤 線が青い場合はAZAN染色を選ぶ。
\AZAN染色の解説はこちら/
核が濃紫 線が青い場合はMasson trichrome染色を選ぶ。
\Masson trichrome染色の解説はこちら/
腎臓 の疾患
腎臓の疾患で覚えたいのは以下の5つ。
- 腎摘出後の肥大
- 水腎症と圧迫萎縮
- 腎細胞癌と腎芽腫の名前
- 腎がんの転移先
- 腎臓の貧血性梗塞
腎摘出後の肥大
腎臓は2つあるが、片方を摘出するともう一方が2倍働こうとするため肥大する。
水腎症と圧迫萎縮
水腎症とは尿管の狭窄や結石、腫瘍などによって尿が流れにくくなり、腎盂などに尿が溜まる疾患。
尿によって腎盂が拡張し、腎実質が押されて薄くなる。
腎細胞癌と腎芽腫
腎臓の腫瘍には大人にできやすいものと子供にできやすいものがある。
- 大人にできやすい腎腫瘍
腎細胞癌(グラヴィッツ腫瘍) - 子供にできやす腎腫瘍
腎芽腫(ウィルムス腫瘍)
基本的には【~芽腫】と付くものは小児発生が多い。
~芽腫の中でも【膠芽腫】は成人に多いから注意!
その他小児に多い腫瘍をまとめると次の5つ。
- 膠芽腫以外の【~芽腫】
- 胚細胞腫瘍
- 血液系腫瘍(白血病など)
- 骨肉腫
- 横紋筋肉腫
腎がんの転移先
腎臓は以下の場所に転移が多い。
- 肺
- 脳
- 骨
腎癌は血行性に転移することが多い。
次のイラストで血液の流れを理解すると肺や脳に転移しやすいことが分かる。
(特に肺に転移しやすいことが分かる)
腎臓 の貧血性梗塞
腎臓が梗塞を起こした場合、貧血性梗塞を引き起こす。
貧血性梗塞&出血性梗塞を起こしやすい臓器は下の別記事でかならずおさえておこう!
\貧血性・出血性梗塞の解説はこちら/
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