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結合組織とは?よく分からない結合組織をわかりやすくイラスト解説

どっとゼブラ
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どっとぜぶら
どっとぜぶら
細胞検査士
臨床検査技師
医学博士
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・細胞検査士試験 1発合格
・12月からの勉強でMT国試150点

少しでも多くのMT, CT学習者の役に立ちたいと思いSNSなどで情報発信中。
テーマは【勉強ができない人はいない。やり方次第で誰でもできる!】
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ぜぶら
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今回は「結合組織」について。
大事なのに学校でもあまり教えてくれないこの言葉。
そんな悩みをここで解決しよう!

そもそも組織とは

組織とは細胞があつまったもの

そして組織は大きく4種類に分けられます。
この4つは四大組織と呼ばれ、全ての組織がこの4つのどれかに該当します。

四大組織の種類
  1. 上皮組織
  2. 支持組織
  3. 筋組織
  4. 神経組織
ぜぶら
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今回は結合組織は【支持組織】に該当するよ。
いろんな組織が4つのどこに該当するかは必ず理解しておこう!

支持組織とは

支持組織はカラダを支えたり、器官の形を保ったりするもの。
以下の3種類が当てはまります。

  1. 結合組織
  2. 軟骨・骨組織
  3. 血液・リンパ液

これらの支持組織には共通する特徴があります。

支持組織の特徴

支持組織には大きな2つの特徴があります。

支持組織の特徴
細胞間質とは?

線維と基質で構成され、細胞外マトリックス(細胞外基質)とも呼ばれる。

基質とは?

細胞間質の無構造な部分でタンパク質や糖質などを含む。
無定型基質とも呼ばれる。

支持組織と上皮組織の違い

ぜぶら
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支持組織は上皮組織と対比な部分が多い。
比べると理解しやすいよ。

上皮組織VS支持組織
  • 上皮組織
    • 細胞が密に存在。
    • 細胞同士に結合性がある。
  • 支持組織
    • 細胞が少なく、細胞間質が多い。
    • 細胞同士の結合性がない。

結合組織とは?

結合組織を簡単に説明すると

体内のあらゆる場所に存在し、組織や器官の間や内部に入り込んで隙間を埋め、それらを繋ぎとめたり形を保ったりする役割を持つ組織

【さらに簡単にいうと】
組織と組織のスキマを埋めているもの。

細胞や組織の間には隙間があります。
そこを埋める役割を担うのがこの結合組織です。

結合組織に含まれるもの

結合組織には何が含まれか確認しましょう。

結合組織に含まれるもの

結合組織 はまず細胞と細胞間質に分かれます。

細胞間質には線維と基質(無定型基質)が含まれ、線維はさらに3種類あります。

結合組織に存在する細胞は一般的に9種類。
線維芽細胞がメインで、脂肪細胞や白血球系の細胞などがいます。

結合組織の線維

結合組織は線維が豊富に存在する。

ぜぶら
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線維は3種類あるよ。

  1. 膠原線維
  2. 弾性線維
  3. 細網線維

膠原線維

画像の青い部分が膠原線維

出典:厚生労働省HP 第59回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊https://www.mhlw.go.jp/topics/2010/04/dl/tp_siken_56_rinken_02.pdf

細胞間質の主体となる線維で、あらゆる場所に存在する。
Ⅰ型コラーゲンを主成分とし、引っ張られる力に強い。

膠原線維が存在する主な場所
  • 真皮
  • 靭帯
  • 軟骨
  • 血管壁(外膜)
  • 筋膜・腱膜

など

\膠原線維で覚えたいこと/

  • 関連する疾患
  • 染色
関連する疾患
  1. 心筋梗塞
  2. 肝硬変
  3. 間質性肺炎
  4. 糸球体腎炎
  5. 動脈硬化
  6. 全身性強皮症

など

ぜぶら
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ここにまとめた疾患と染色は必ず覚えよう!

細網線維

画像の黒い部分が細網線維

出典:厚生労働省HP 第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午後問題別冊https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp170425-07b_02.pdf

Ⅲ型コラーゲンが主体の細い線維。
糖質を多く含む。

網状や格子状の構造を作る。

細網線維が存在する主な場所
  • 基底膜
  • 肝臓
  • リンパ節
  • 胸腺
  • 脾臓
  • 骨髄

など

\細網線維で覚えたいこと/

  • 染色
細網線維が染まる染色

弾性線維

画像の黒い部分が弾性線維

出典:厚生労働省HP第58回臨床検査技師国家試験の問題および正答について 午前問題別冊https://www.mhlw.go.jp/topics/2012/04/dl/tp_siken_58_rinken_am2.pdf

ゴムのように弾性力に富む線維で、2倍以上伸びても元に戻る。

エラスチカとも呼ばれる。
主成分は線維芽細胞が産生するエラスチン

弾性線維が存在する主な場所
  • 血管(中膜)

など

\弾性線維で覚えたいこと/

  • 染色

コラーゲンの種類

膠原線維や細網線維の主成分はコラーゲンです。

ぜぶら
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種類はたくさんあるけど、よく出てくるのはⅠ型〜Ⅳ型。
4種類だけなんとなくでも知っておこう!

4種類のコラーゲンの特徴
  1. Ⅰ型コラーゲン
    生体内のコラーゲンの多くを占める最も一般的なコラーゲン。
    膠原線維の主成分で線維芽細胞、骨芽細胞などからつくられる。

  2. Ⅱ型コラーゲン
    軟骨に多くみられるコラーゲン。
    軟骨芽細胞からつくられる。

  3. Ⅲ型コラーゲン
    細網線維の主成分。
    線維芽細胞、平滑筋細胞、シュワン細胞からつくられる。

  4. Ⅳ型コラーゲン
    基底膜の主成分。
    基底膜は他にラミニン、ニドゲン、パーレカンなどを含む。
    上皮細胞や血管内皮細胞からつくられる。

結合組織の基質(無定型基質)

水分、糖、タンパクなどが存在するゲル状の部分。
主成分はグリコサミノグリカン(多糖)。

グリコサミノグリカン

グリコサミノグリカンは【酸性粘液多糖類】とも呼ばれます

大量の水を引き込む力があり、硫酸基とカルボキシ基を持つものが多い(ヒアルロン酸だけは硫酸基を持たない)。

さらにグリコサミノグリカン(酸性粘液多糖類)は以下の4種類があります。

グリコサミノグリカンの種類
  1. ヒアルロン酸
    (カルボキシ基はあるが硫酸基がない
  2. コンドロイチン硫酸
    (カルボキシ基も硫酸基もある)
  3. デルマタン硫酸
    (カルボキシ基も硫酸基もある)
  4. へパラン硫酸
    (カルボキシ基も硫酸基もある)
  5. ケラタン硫酸
    (カルボキシ基も硫酸基もある)
ぜぶら
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グリコサミノグリカンは染色との関連も覚えておこう!

グリコサミノグリカンと染色の関係
  1. いくつかの塩基性色素で異染性を示す
  2. 糖を持つが、通常のPAS反応では陰性
  3. カルボキシ基や硫酸基がアルシアン青染色で染まる

プロテオグリカン

グリコサミノグリカンと似た言葉でプロテオグリカンがあります。

これはコア蛋白にグリコサミノグリカンが結合したものの名称です。
多くのプロテオグリカンはコア蛋白に結合していますが、ヒアルロン酸だけは結合せず単独で存在しています。

グリコサミノグリカンの特徴まとめ
  1. 酸性粘液多糖類とも呼ばれる
  2. 大量の水を引き込む
  3. 硫酸基とカルボキシ基を持つ
    (ヒアルロン酸だけは硫酸基を持たない)
  4. いくつかの塩基性色素で異染性を示す
  5. 通常のPAS反応は陰性
  6. アルシアン青染色で染まる
  7. 蛋白と結合してプロテオグリカンとして存在する
    (ヒアルロン酸は結合しない)

結合組織の細胞成分

結合組織に含まれるもの

結合組織の主な細胞成分は9種類ある。

結合組織の主な細胞
  1. 線維芽細胞
  2. 脂肪細胞
  3. マクロファージ
  4. 肥満細胞
  5. 樹状細胞
  6. リンパ球
  7. 形質細胞
  8. 好酸球
  9. 色素細胞

線維芽細胞

  • 細長い細胞で核小体が目立つ
  • 膠原線維や弾性線維の前駆物質を産生する
  • プロテオグリカンをつくる

脂肪細胞

  • 細胞内に脂肪滴を持つ
  • 白色細胞細胞と褐色細胞細胞があり、機能が異なる
    • 白色脂肪細胞
      大型の脂肪滴を1つ持ち、核が細胞辺縁に圧排される。
      エネルギー貯蔵(中性脂肪の貯蔵)が主な役割。
      レプチン(食欲抑制)やアディポネクチン(インスリン感受性向上)などのホルモンを分泌する。
    • 褐色脂肪細胞
      小型~中型の脂肪滴を多数持ち、ミトコンドリアが豊富。
      UCP1(脱共役タンパク質1)を発現し、脂肪を燃焼して熱産生(非震え熱産生)を行う。

マクロファージ

  • 貪食能があり、異物を食べて消化する
  • 異物の情報をリンパ球に伝える抗原提示能がある
  • サイトカインを出す
ぜぶら
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マクロファージは存在する場所によって名前が変わるのも特徴的!

マクロファージの名称一覧
場所・臓器名称
肝臓クッパー細胞
中枢神経ミクログリア(小膠細胞)
肺胞肺胞マクロファージ
破骨細胞
皮膚ランゲルハンス細胞
※機能は樹状細胞に近い
胎盤(絨毛)ホフバウアー細胞

肥満細胞

  • 細胞質にヒスタミンやヘパリンを含む顆粒を持つ
  • 顆粒は塩基性アニリン色素で異染性を示す
  • IgEと結合する受容体を持つ
  • アレルギーに関与する
塩基性アニリン色素
  1. トルイジン青
    染色の詳細はこちらをクリック
  2. アニリン青
    AZAN染色とマッソン・トリクローム染色(MT染色)に使われる。
    AZAN染色の詳細はこちら
    MT染色の詳細はこちら

樹状細胞

  • マクロファージに類似するが貪食能が低く、抗原提示能が高い
  • ランゲルハンス細胞、指状嵌入細胞、ヴェール細胞は樹状細胞の仲間

リンパ球

  • 細胞質にRNAが多く好塩基性
  • B細胞、T細胞、NK細胞に分けられる
  • 免疫を担当する

形質細胞

  • Bリンパ球が分化した細胞
  • 抗体(免疫グロブリン)を分泌する
  • 細胞質は強い好塩基性で粗面小胞体が多い
  • 核周囲の細胞質にゴルジ野が多く明るく抜ける
  • クロマチンは車軸状と表現される
  • 免疫グロブリンの塊のラッセル小体が細胞質にみられる
  • ラッセル小体はPAS反応に陽性

好酸球

  • 細胞質にエオジン好性顆粒を多く持つ
  • 核は二分葉していることが多い
  • 寄生虫感染やアレルギー疾患に関与する

色素細胞

  • 特定の色素を持つ細胞でヒトではメラノサイトが該当する
  • 細胞質に突起がある
  • メラノサイトはメラニンを持つ
  • 神経外胚葉由来の細胞

結合組織の種類

線維や細胞などの構成によって種類が変わり、名称も変わる。

基本的にはそこに多い線維や細胞が名前になっています。

  • 脂肪細胞が多ければ細胞組織
  • 弾性線維が多ければ弾性線維

など

線維性結合組織

膠原線維が多い結合組織を線維性結合組織と呼び、線維の密度や量で疎性結合組織密性結合組織に分かれます。

疎性結合組織

  • 膠原線維と若干の弾性線維 が不規則に走る
  • その中に線維芽細胞や脂肪細胞やリンパ球などが含まれる
  • 皮膚や粘膜下、血管や神経周囲など広く分布する

密性結合組織

  • 膠原線維の束が密に一定方向に配列する
  • 束に密になることで強い牽引力に耐えられる
  • 膠原線維の束の隙間に線維芽細胞が存在する
  • 腱、靭帯、筋膜、腱膜などがこれに該当する

脂肪組織

左右で染色が違う。右側はその細網線維が黒く染まってるのを表す。
  • 脂肪組織は脂肪細胞が集合してできた組織
  • 保温効果とかクッション的な役割がある
  • 通常の標本作製で工程のアルコールで脂肪が溶ける
  • 脂肪細胞の周りは細網線維で囲まれている

弾性組織

  • 弾性線維が多い組織
  • 大動脈などが含まれる

細網組織

  • 肝臓リンパ節脾臓骨髄などが該当する
  • 細網細胞とそれが産生した細網線維からなる組織

膠様組織

  • グリコサミノグリカンが多く透明・粘液質なゼリー状の組織
  • ワルトンのゼリーとも呼ばれる
  • 胎児臍帯にみられる
  • トルイジン青などで異染性を示す

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